公開日:2021.07.08

【2021年版】キャリアアップ助成金の7つのコースまとめ

キャリアアップ

優秀な人材を確保し、労働生産性を向上させることは国の課題にもなっており、労働生産性の改善と向上がこれまで以上に求められています。「優秀な人材を確保したいけど、人件費に余裕がない」と悩まれている事業主の方の強い味方に「キャリアアップ助成金」があります。

キャリアアップ助成金は、国の助成を受けて派遣社員などの非正規雇用労働者を、正社員化、処遇改善を行い労働者の意欲を高める制度になります。
ここでは、キャリアアップ助成金の7つのコースについてご紹介します。

1.キャリアアップ助成金とは?

日本の非正規雇用労働者は2010年より増加しており、近年では約40%の労働者が非正規雇用労働者と言われています。厚生労働省では、非正規雇用労働者の減少を目的としてキャリアアップ助成金に力を入れています。

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者を正社員にするための制度を会社内で整備し、実際に非正規雇用労働者が正社員になった場合に支給される助成金です。

キャリアアップ助成金は、労働者の新規雇い入れ、アルバイトの正社員化、派遣社員の直接雇用など、会社の状況に合わせて7つのコースがあり、自由度が高く、利用しやすい助成金になっています。

1-1.キャリアアップ助成金の7つのコース

キャリアアップ助成金は、「正社員化コース」が2コースと正社員化コース以外の「処遇改善関係コース」が5コース用意されており、合計で7つのコースがあります。

①正社員化コース

アルバイトやパートなどの有期契約労働者等を正規雇用労働者に転換した場合や直接雇用した場合に助成されるコースです。他のコースと比べて最も利用しやすく「キャリアアップ助成金=正社員化コース」と言われるほどです。有期契約労働者等を雇用する事業主の方が最初に検討する助成金です。

②障害者正社員化コース

障害者の雇用促進と職場定着を図るための助成金です。

③賃金規定等改定コース

有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を増額して昇給させた場合に助成されるコースです。

④賃金規定等共通化コース

有期契約労働者等の賃金規定などを作成し、運用した場合に助成されるコースです。賃金規定等は、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた規定でなければなりません。

⑤諸手当制度等共通化コース

有期契約労働者等の諸手当についての規定を新たに設け、適用した場合に助成されるコースです。諸手当の規定は、正規雇用労働者と共通のものでなければなりません。

⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース

有期雇用労働者等の働き方を適切に把握し、社会保険の適用と働き方の見直しを反映させる取り組みを行い、新たに有期雇用労働者等が社会保険の被保険者とした場合に助成されるコースです。

⑦短時間労働者労働時間延長コース

正規雇用労働者と比べて労働時間の短い短時間労働者の週所定労働時間を延長し、処遇の改善や新たに社会保険を適用した場合に助成されるコースです。

1-2.人材開発支援助成金との違い

キャリアアップ助成金と間違えやすい助成金に「人材開発支援助成金」があります。どちらも雇用関係の助成金ですが、助成金の目的が異なります。

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の会社内でのキャリアアップを促進する助成金であり、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を目的としています。
一方、人材開発支援助成金は従業員の職業能力開発の促進のために支給される助成金です。従業員が職務に関連した専門知識や技術を身に付けて労働生産性の向上や技術の承継、グローバル人材の育成などを目的としています。

2.キャリアアップ助成金の7コースの概要

キャリアアップ助成金の7つのコースにはそれぞれ助成の要件と助成金額が設定されています。各コースの助成の要件と助成金額を見ていきましょう。

各コース共通の要件

各コースに共通して支給対象になる事業主が定められています。主な要件は次の通りです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であり、キャリアアップ計画書を取組実施日の前日までに提出していること

①正社員化コースの概要

雇用される期間が6か月以上の有期雇用労働者、無期雇用労働者、有期派遣労働者、無期派遣労働者を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成されます。助成額は有期・無期によって異なります。

転換または直接雇用 中小企業等の場合
(1人当たり)
大企業の場合
(1人当たり)
有期雇用・派遣労働者
→正規雇用労働者
57万円<72万円> 42万7,500円<54万円>
有期雇用・派遣労働者
→無期雇用・派遣労働者
28万5,000円<36万円> 21万3,750円<27万円>
無期雇用・派遣労働者
→正規雇用労働者
28万5,000円<36万円> 21万3,750円<27万円>

※<>内は生産性の向上が認められる場合の額

正社員化コースはこちらの記事で詳しくご紹介しています。また、キャリアアップ助成金を申請する場合に注意しなければならないポイントについてもご確認ください。

【関連記事】キャリアアップ助成金(正社員化コース)を確実にもらうための方法

②障害者正社員化コース

障害者正社員化コースは、重度の障害者か重度以外の障害者かに区分され、有期雇用・派遣労働者から正規雇用労働者にした場合に120万円の助成を受けることができます。詳しくは、こちらをご覧ください。

【参照】厚生労働省:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

③賃金規定等改定コース

すべての有期雇用労働者等、または雇用形態別や職種別など一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に助成されます。

①すべての有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

対象労働者数 中小企業等の場合 大企業の場合
1人~3人 1事業所当たり9万5,000円<12万円> 1事業所当たり7万1,250円<9万円>
4人~6人 1事業所当たり19万円<24万円> 1事業所当たり14万2,500円<18万円>
7人~10人 1事業所当たり28万5,000円<36万円> 1事業所当たり19万円<24万円>
11人~100人 1人当たり2万8,500円<3万6,000円> 1人当たり1万9,000円<2万4,000円>

※<>内は生産性の向上が認められる場合の額

②一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

対象労働者数 中小企業等の場合
(1人当たり)
大企業の場合
(1人当たり)
1人~3人 1事業所当たり4万7,500円<6万円> 1事業所当たり3万3,250円<4万2,000円>
4人~6人 1事業所当たり9万5,000円<12万円> 1事業所当たり7万1,250円<9万円>
7人~10人 1事業所当たり14万2,500円<18万円> 1事業所当たり9万5,000円<12万円>
11人~100人 1人当たり1万4,250円<1万8,000円> 1人当たり9,500円<1万2,000円>

※<>内は生産性の向上が認められる場合の額

中小企業等の場合で3%以上5%未満増額改定した場合と5%以上増額改定した場合は一定の助成額が加算されます。

賃金規定等改定コースの支給の流れ

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
    事業所ごとにキャリアアップ管理者を配置し、労働組合等の意見を聞いてキャリアアップ計画書を作成し、賃金規定等を増額改定する前日までに管轄労働局へ提出し認定を受けます。
  2. 賃金規定等の増額改定の実施
  3. 増額改定後の賃金に基づき6か月分の賃金を支給・支給申請
  4. 審査、支給決定

必要書類

支給要件確認申立書、キャリアアップ計画書、増額改定前および増額改定後の賃金規定等、対象労働者の増額改定前および増額改定後の雇用契約書等の書類

④賃金規定等共通化コース

有期雇用労働者等に正規雇用労働者と共通の賃金規定等を新たに作成し、適用した場合に助成を受けることができます。

助成金の支給額は、中小企業で1事業所当たり57万円(生産性の向上が認められる場合は72万円)となり、大企業の場合は1事業所当たり42万7,500円(生産性の向上が認められる場合は54万円)になります。

共通化の対象になる労働者が1人増加するごとに2万円(生産性の向上が認められる場合は2万4,000円)助成額が加算されます(最大20名)。大企業の場合は1万5,000円(生産性の向上が認められる場合は1万8,000円)になります。

賃金規定等共通化コースの支給の流れ

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 賃金規定等の共通化の実施
  3. 賃金規定等共通化後の賃金に基づき6か月分の賃金を支給・支給申請
  4. 審査、支給決定

必要書類

支給要件確認申立書、キャリアアップ計画書、労働者全員の共通化前および共通化後の雇用契約書等、賃金規定等が規定されている労働協約または就業規則など

⑤諸手当制度等共通化コース

有期雇用労働者等の諸手当を正規雇用労働者と共通にする制度を新たに設けて適用した場合、または有期雇用労働者等の健康診断制度を新たに設けて延べ4人以上実施した場合に助成されます。

中小企業 大企業
支給額 1事業所当たり38万円<48万円> 1事業所当たり28万5,000円<36万円>
2人目以降加算額
(上限20人まで)
1人当たり1万5,000円<1万8,000円> 1人当たり1万2,000円<1万4,000円>
共通化する2つ目以降の諸手当加算額
(上限4つまで)
諸手当の数1つ当たり16万円<19万2,000円> 諸手当の数1つ当たり12万円<14万4,000円>

※<>内は生産性の向上が認められる場合の額

諸手当制度等共通化コースの支給の流れ

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 諸手当制度の共通化の実施または健康診断等を延べ4人以上に実施
  3. 諸手当制度共通化後または健康診断等を実施後6か月分の賃金を支給・支給申請
  4. 審査、支給決定

必要書類

支給要件確認申立書、キャリアアップ計画書、諸手当制度または健康診断制度が規定されている労働協約または就業規則、労働者全員および当該諸手当制度の適用を受ける正規雇用労働者1人の共通化前および共通化後の雇用契約書など

⑥選択的適用拡大導入時処遇改善コース

有期雇用労働者等へ社会保険に関する意向を確認し、有期雇用労働者等が新たに社会保険の被保険者になった場合に助成されます。

助成金の支給額は1事業所当たり19万円(生産性の向上が認められる場合は24万円)となり、大企業の場合は1事業所当たり14万2,500円(生産性の向上が認められる場合は18万円)になります。

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの支給の流れ

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 未加入有期雇用労働者等に対する説明会およびアンケート調査等の実施
  3. 労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施
  4. 措置該当日後の基本給に基づき6か月分の賃金を支給・支給申請
  5. 審査、支給決定

必要書類

キャリアアップ計画書、基本給の増額前および増額後の雇用契約書等、出勤簿など

⑦短時間労働者労働時間延長コース

有期雇用労働者等の週所定労働時間を5時間以上延長した場合、または週所定労働時間を1時間以上延長と処遇改善を行い有期雇用労働者等が新たに社会保険の被保険者になった場合に助成されます。

中小企業等の場合 大企業の場合
短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延長し
新たに社会保険に適用した場合
11人当たり22万5,000円<28万4,000円> 1人当たり16万9,000円<21万3,000円>

労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合

延長した週所定労働時間 中小企業等の場合
(1人当たり)
大企業の場合
(1人当たり)
1時間以上2時間未満 4万5,000円<5万7,000円> 3万4,000円<4万3,000円>
2時間以上3時間未満 9万円<11万4,000円> 6万8,000円<8万6,000円>
3時間以上4時間未満 13万5,000円<17万円> 10万1,000円<12万8,000円>
4時間以上5時間未満 18万円<22万7,000円> 13万5,000円<17万円>

選択的適用拡大導入時処遇改善コースの支給の流れ

  1. キャリアアップ計画の作成・提出
  2. 週所定労働時間延長を実施
  3. 延長後6か月分の賃金を支給・支給申請
  4. 審査、支給決定

必要書類

支給要件確認申立書、キャリアアップ計画書、週所定労働時間の延長前および延長後の雇用契約書等、出勤簿など

まとめ

今回は「キャリアアップ助成金の7つのコース」についてご紹介しました。

キャリアアップ助成金は、会社の状況に応じて利用できる自由度の高い助成金です。自由度が高いゆえに自社がどのコースを申請した方がいいのか判断に困る場合もございます。

当会計事務所は助成金申請の経験が豊富であり、様々なご相談を承っております。お気軽にご連絡ください。

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