上原note
2026.08.26

生前贈与は本当に得なのか?

「相続税対策のために、子どもや孫へ毎年贈与しています」というお話をよく伺います。
確かに、生前贈与は相続対策の有効な方法の一つです。
しかし、贈与すれば必ず相続税が安くなるわけではありません。

 大切なのは、「いくら贈与するか」ではなく、贈与税と将来の相続税を比較して考えることです。

① まず「相続税がいくらかかるか」を計算する

例えば、相続税がほとんどかからない方が、多額の財産を贈与して贈与税を支払ってしまえばかえって税負担が増えることがあります。
反対に、将来高い税率で相続税がかかる方なら、一定の贈与税を支払ってでも早めに財産を移した方が家族全体の税負担を抑えられる場合があります。
そのため、生前贈与の第一歩は相続税の試算です。

② 「110万円」にこだわりすぎない

暦年課税では年間110万円の基礎控除があります。
しかし、「110万円以内でなければ損」というわけではありません。
財産額や年齢、相続人の人数などによっては、年間200万円、300万円などを贈与し、一定の贈与税を負担した方が、最終的な税負担を少なくできるケースもあります。
重要なのは、贈与税だけを見るのではなく、相続税まで含めて比較することです。

③ 相続直前の贈与には注意

現在の制度では、暦年課税による贈与について、相続開始前の一定期間に行われたものが相続税の計算に加算される仕組みがあります。
そのため、高齢になってから慌てて贈与を始めても、期待した効果が得られない場合があります。
生前贈与は、元気なうちから長期間かけて計画的に行うことがポイントです。

④ 相続時精算課税も選択肢に

相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が設けられています。
将来値上がりしそうな財産や収益を生む財産などでは有効な場合があり、以前より利用を検討しやすい制度になっています。
ただし、一度選択すると暦年課税へ戻れないなどの注意点があります。

生前贈与には、相続税対策だけでなく、子や孫が必要としている時期に財産を渡せるという大きなメリットがあります。
だからこそ、①現在の財産額 → ②将来の相続税 → ③贈与税 → ④何年間贈与できるかをシミュレーションしてから実行することが重要です。


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