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相続税申告にかかる税理士報酬の費用相場

「相続税申告は税理士に依頼する」というイメージが強いように、「税理士に依頼すると高くつく」というイメージも強いのではないでしょうか。
しかし、税理士報酬について何より不安に思われる方が多いのは、税理士報酬がどのように設定された金額だかよくわからない点だと思います。

今回は、税理士報酬の相場と報酬体系、それらを踏まえた税理士の選び方をご紹介いたします。良い税理士選びのご参考にしていただけましたら幸いです。

1.相続税申告の報酬相場

1-1.税理士報酬規定が廃止され現在は自由化されている

税理士報酬は、税理士会の「税理士報酬規定」によって業務についての最高限度額が決められていました。そのため、どの税理士に依頼しても、一定額以上の報酬は請求されないようになっていたのです。

しかし、この税理士報酬規定は2002年4月1日に廃止され、税理士ごとに自由に報酬を設定できるようになりました

1-2.税理士報酬の相場|遺産総額の0.5%~1%程度

税理士報酬規定は廃止されましたが、今でもほとんどの税理士は廃止された規定と同程度の税理士報酬を設定しています。

相続税申告にかかる税理士報酬は、相続の内容によって大きく変わりますので、一概に相場を断言することはできません。しかし、相続税申告の税理士報酬の相場は、遺産総額の0.5~1%程度といわれています。

税理士ごとに様々な報酬体系を設定してはいますが、最終的に請求される報酬額がこの範囲内に収まっていれば、適正な料金であると言えるでしょう。

2.相続税申告の加算報酬

2-1.基本報酬と加算報酬

多くの税理士は、相続税申告の税理士報酬について次のように「基本報酬」と「加算報酬」を設定しています。

  • 基本報酬:相続の内容にかかわらず一定額、または遺産総額などに応じて決まる報酬
  • 加算報酬:相続の状況や内容が当てはまる項目について、基本報酬に加算する報酬

基本報酬

基本報酬は、税理士に依頼する際に必ず発生する報酬で、遺産総額に基づいて計算されるのが一般的です。

加算報酬

相続税申告書を作成するうえで、計算が複雑になる、申告に対する税理士の責任が増すといった項目があると、該当する項目を別途基本報酬に加算することで、お客様の相続に応じた税理士報酬となるように設定しています。

一般的に加算報酬の対象となるのは次のような項目です。

2-2.相続人の数

相続税の計算は、相続人ごとに計算していきます。相続人が1人増えるごとに税理士の負担も増えることになります。

相続人の数による加算報酬額の設定は、税理士によって様々です。「相続人1人あたり加算額10万円」、「相続人2人以上は1人あたり加算額20万円」、「相続人が1人増えるごとに基本報酬×10%を加算」など、基本報酬に対して〇%加算という税理士が比較的多くなっています。

2-3.特殊な形状の不動産評価

相続税申告書を作成するうえで、多くの場合最も時間がかかるのが土地の評価です。土地の立地や形状を評価額に反映させるためには複雑な計算過程を経なければならず、土地が特殊なものになればなるほど計算が難しくなり、時間もかかります。

また、土地は金額が大きく相続税に与える影響も大きいため、税理士の責任も大きくなります。

土地についての加算報酬額は、「土地1筆あたり加算額は5~20万円程度」、「土地がいくつあっても加算額は定額〇〇万円」、「土地に応じて別途見積もり」などの設定が多くなります。

2-4.非上場株式の評価

非上場株式は、被相続人が中小企業のオーナー社長であった場合に所有していることが多い遺産で、土地と同様に複雑な財産評価の計算を行わなくてはなりません。

加算報酬額は、「1銘柄あたり加算額10~20万円程度」といった設定が一般的です。

2-5.延納・物納を選択

相続税は原則として現金一括で納付しなければなりません。しかし、相続税は税額が大きいこともあり、例外として延納・物納も認められています。

これらを選択したい場合には、申告とは別に税務署への申請が必要なります。その他にも、本当に延納・物納を選択した方が有利なのか慎重なシミュレーションも必要となるため、加算報酬の対象となります。

延納、物納についての加算報酬額は、延納や物納を申請する金額に応じて、「物納申請税額が1億円未満の場合は加算額10~30万円」、「延納申税請額が5億円未満の場合は加算額15万円~50万円」など、税理士によって金額の違いが大きくなる項目です。

2-6.申告期限までの期間が短い

申告期限まであと1月しかない、申告期限を過ぎているなどという状況であっても、税理士はご依頼があればお受けして、その時点におけるベストな方法を検討します。

しかし、10ヶ月かけて行うところを短期間で行わなければなりませんので、税理士の負担も大きくなります。

ただし、ここまでの特殊なケースの加算報酬を公開している税理士は稀です。したがって相場を記載することは難しいですが、別途見積もりとして加算報酬がかかることが多いでしょう。

3.相続税申告を依頼すべき税理士とは

相続税申告を税理士に依頼すると、遺産の0.5~1%程度の税理士報酬がかかります。これだけの大きな額をお支払いになる税理士選びは失敗したくありません。

良い税理士はどのように選ぶとよいのでしょうか。ポイントをご紹介いたします。

3-1.相続税の申告件数が多い

申告実績を確認することは、良い税理士を最も簡単に見分ける方法です。
相続税は、法人税や所得税、消費税というメジャーな税金とは異なり、法人や個人事業者の顧問を専門にしている一般的な税理士が日常的に関わる税金ではありません。相続税の依頼があったとしても年1件程度です。

これに対して相続税を専門としている税理士は、多い人で年100件程度の相続税申告を行います。

申告件数が多いということは、それだけ様々なケースに対応してきた知識と経験があるということであり、多くの方がその税理士を選んで依頼しているという結果です。
税理士を選ぶ際には、まず申告件数を確認してください。公開されていない場合には直接お聞きになっても大丈夫です。決して失礼な質問ではありませんのでご安心ください。

3-2.報酬をHPで公開している

不特定多数の人が閲覧することができるホームページで税理士報酬を公開できるということは、やましい報酬設定をしていないということに繋がります。

反対に公開できないということは、高額な報酬設定である、加算報酬を細かく設定しているなど、他の税理士と比較されては困るような事情がある可能性があります。

3-3.税務調査に強い

相続税は他の税金に比べて圧倒的に税務調査が入る確率が高くなります。令和3年事務年度では相続税申告件数のうち税務調査が入った割合は、4.7%(税務調査数6,317件/申告件数134,275件)とここ数年は新型コロナの影響で少なくなっていますが、それ以前は10%程度をキープしていました。

一方で、例えば所得税の確定申告で個人事業主やフリーランスが税務調査の対象となるのは、1%程度と言われています。

相続税申告について税務調査が入ると、税理士は強い味方になってくれます。ただし、経験がものを言います。

まず腕のある税理士が行った申告であれば、税務調査が入ったとしても、申告漏れなどの不備がある可能性自体が低く、万一、指摘事項があったとしても追徴課税が最小限に抑えられるよう対応することができます。

反対に腕のない税理士行った申告に税務調査が入ると、不備がある可能性が高く、指摘事項に対して反論する引き出しも少ないため、多額の追徴課税が発生する可能性が高くなります。

3-4.報酬が安い税理士を安易に選ばない

「安いものには訳がある。」一概にすべての事象に対して当てはまる言葉ではありませんが、税理士報酬にも通じる部分があります。

税理士報酬の安さだけを前面に押し出しているような税理士はおすすめいたしません。なぜなら、そうしないとお客様が来ないから=腕では売れない税理士であるということが考えられます。

腕のない税理士は、一般に腕のある税理士に比べて節税できる額が小さくなる可能性が高く、結果として、税理士報酬が安い代わりに高い相続税を支払うことになってしまいます。

また、相続税申告の経験が乏しいがために計算を誤ってしまうと、後に追徴課税が発生する恐れもあります。

4.相続税申告の税理士報酬についてのよくある質問(FAQ)

相続税申告の税理士報酬は誰が払うの?

相続税申告でかかった税理士報酬は、実際の相続分に応じて支払っても、相続人の代表者が全額支払っても、誰がどのように負担しても法律上問題はありません。

ただし、相続人間で税理士報酬を分割して負担した場合には、相続人の代表者などにまとめてお支払いいただくことになります。

相続税申告の税理士報酬は債務控除できないの?

相続税で債務控除の対象となるのは、相続開始時に確定している債務の額に限られるため、相続開始後、相続税申告の際に発生する税理士報酬は、相続税の債務控除の対象とはなりません。

まとめ

税理士の報酬は、単に高いか安いかを問題にすべきではなく、適正な報酬で、どれだけ節税という成果を出せるかにかかっています。そのためにも、相続税申告は、相続税に詳しい税理士に依頼することが必要となります。

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例えば、上記のような場合以外にも、下記のように税理士・弁護士・司法書士を含めた総合的なアドバイスが必要になるケースが少なくありません。

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