上原note
2023.06.29
土地建物の一括譲渡の消費税を巡り納税者敗訴
土地建物の一括譲渡をしたX社の消費税計算が否認された事例です。(東京地方裁判所 2023年05月25日(令和3年(行ウ)第123号))
譲渡者X社は購入者個人との間で、土地建物の一括譲渡契約を結び、締結された売買契約書にはX社算定方法に基づく消費税額等が記載され、消費税額等について当事者間では“合意”されていた状況です。
しかし、東京地裁は、合意された対価の額であっても、課税資産(建物等)と非課税資産(土地等)の一括譲渡の場面では、その合意された対価の額に常に従わなければならないものではなく、「合理的に区分されていないとき」の規定が適用され得ると判断しました。
「合理的に区分されていないとき」の適用に当たっては、“課税資産及び非課税資産のそれぞれの本来的な価額の比率や、これらを仕入れた際のそれぞれの対価の額の比率との比較において、課税資産の対価の額の割合が過少になっていないかどうかなどの事情をも考慮すべき”と示されました。
例えば、賃貸不動産の一括譲渡につき消費税の計算が合理的になされず、消費税が多額に計算されているとします。すると消費税が過大に計算されていることから建物価格が過大となり、減価償却費が過大になって節税が可能になります。
しかし、この点を指摘され「合理的に区分されていない」と判断されれば不動産の購入者は修正申告を求められます。注意が必要です。