- 事業を引き継いでくれる者がいない
- 65歳になり事業を廃止したいが、借入金があるので閉鎖できないでいる
- 事業を売却し、年金の足しにしたいと思うが適当な買主が見当たらない
- 貯金がないので老後資金を捻出するには事業を継続するしかない
- 株価が考えていたより高く、相続税が大きくなり会社経営を圧迫してしまう
上記のような声を聞くことが多くなりました。事業承継を考える経営者の方々が、皆さん悩んでいらっしゃいます。
高齢化が進み、多くの中小零細企業経営者の年齢が、65歳以上といわれています。それだけに世代交代、事業承継が焦眉の急となっているのです。
事業承継は、経営者や後継者だけの問題にとどまりません。従業員や取引先への影響はもとより、相続を通じて家族や兄弟にまで問題を生じさせかねない問題なのです。
また、コロナの影響によって、順調な経営を行ってきた企業が、突如として廃業に追い込まれる事例も増えています。
このような事態に陥らないためにも、事業承継は、社員、家族に配慮した総合的な視点をもって、早くから計画的に進めていくことが必要です。
1.事業承継の問題点
では、事業承継の具体的な問題点を一つ一つ洗い出してみましょう。
なお、ここでご紹介する特例や制度などの適用要件や詳しい内容などについては、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
1-1.後継者問題
事業承継をする際にまず問題になるのが、後継者問題です。
ご自分の子や孫には、事業を承継する気がない場合や、承継させたくても素養がないといったケース、社内・社外を見渡しても、後継者にしたい人材が見当たらないといった問題です。
こうしたケースでは、第三者への譲渡(M&A)も検討しなければなりません。ただし、それには、その企業を欲しいと思わせるだけの魅力があるかどうかが問題となります。
また、ご自分の親族に事業を承継させるつもりでも、後継者の育成には、時間がかかります。その間は、経営者ご自身が、事業を継続するしかありません。
1-2.相続問題
事業承継には、現経営者の株式を後継者に承継させて、経営権を集中させる必要があります。そうなると、相続の際に、株式を承継しなかった相続人から遺留分を請求されてしまう可能性があります。
この場合には、「経営承継円滑化法」の「遺留分に関する民法の特例」である「除外合意」と「固定合意」を使って紛争になる可能性を抑えておくことが必要となるでしょう。
ただし、この「遺留分に関する民法の特例」を利用するためには、一定の要件を満たし、「推定相続人全員の合意」を得た上で 、「経済産業大臣の確認」及び「家庭裁判所の許可」を受けることが必須となります。
1-3.相続税などの税金問題
経営者の株式の承継は、贈与や譲渡、相続などによって行われます。この際に課されるのが、贈与税や譲渡所得税、相続税といった税金です。
承継の時期や方法によっていずれの税金が課されるのかは異なりますが、これら3つの税金すべてについて共通するのは、承継される自社株の評価に応じた税金が課されることです。
自社株式は、業績が優良であればあるほど高額になります。経営者が考える以上に高額になっているケースが少なくありません。したがって、納めるべき税金も高額となります。
非上場株式である自社株式を承継する際に、経営者の皆様が利用を検討なさるのが「事業承継税制」制度でしょう。一定の要件を満たすことで、後継者が取得する自社株式に対する贈与税・相続税の納税猶予がなされ、その後、一定期間要件を満たすことで、猶予された納税は免除されます。ただし、納税猶予中に、認定の取消事由に該当すると、猶予された税額に利息を加えて納めなければならなくなるなどのデメリットも十分検討してから利用することをおすすめします。
また、後継者が譲渡により自社株式を取得すると、譲渡した経営者が取得する譲渡益に譲渡所得税が課されることになりますが、一方で、承継する後継者側には、譲渡してもらうための資金が必要になります。
どういった方法が節税になり、企業にとってより良い事業承継になるのか総合的に判断しなければなりません。
1-4.資金問題
事業承継では、上記でご説明したケース以外にも、様々な局面で資金調達が必要になります。
企業が長く存続している場合には、自社株式が分散していることがあり、後継者が安定的に企業を経営するためには、分散した株式を買い取る資金が必要になります。持株会社などを設立して自社株式を取得すると、大量の資金が必要になる可能性もあります。
後継者が相続や贈与、譲渡で得た株式に対する税金の納税資金が必要になるケースもあるでしょう。
後継者が社会的信用を十分に得られなければ、金融機関からの融資条件が不利になり、企業の運転資金を調達しなければならないといった問題も発生します。
一番身近な資金調達方法は、金融機関からの融資でしょう。各金融機関では、事業承継についての融資を行っています。ただし、民間金融機関の融資に最もメリットがあるかどうかは、しっかり判断しなければなりません。
その他には、一定の要件を満たすことで、日本政策金融公庫の融資や「事業承継・集約・活性化支援資金」の利用、経営者保証が不要な信用保証協会の「特別保証制度」の活用などが考えられるでしょう。
1-5.取引先や従業員との関係
後継者が取引先や従業員に受け入れられ、対立が生まれないことが肝心です。
特に、後継者が、先代の経営方針から時代に見合った経営方針へ変更する際には従業員との軋轢が生じやすいでしょう。また、後継者と従業員に世代の格差があると対立が生じやすくなる傾向にあります。
一方で、取引先にも事業承継への理解をしてもらう必要があります。取引先にとっても、経営者の交代は、大きな環境の変化となり、取引条件などの見直しの契機になる可能性があるのです。
企業にとってのリスクにならないように、事前の準備と十分なコミュニケーションを取る必要があります。
2.上原会計事務所に事業承継をお任せいただくメリット
ここまで事業承継をめぐる様々な問題を考えてきた通り、この問題の解決には、法律・税制の知識以外にも事業承継に関する様々な専門知識や豊富な経験が不可欠です。
私たちは、中小企業の経営力向上を支援する「経営革新等支援機関」として国から認定を受けて、様々なご相談を承りまっており、事業承継についても豊富な知識と経験があります。
そこで、当事務所に事業承継をご依頼いただくメリットについて触れさせていただきます。
メリット①事業承継計画立案のための現状把握
事業承継を進めるためには、事業承継のスキームを作成し、計画的に行う必要があります。
スキーム作成に欠かせないのが、ご依頼者様の現状把握です。そのため、弊所では、次のポイントについて、現状を把握するために、時間をかけて、しっかりとヒアリングを行います。
- 会社の状況把握
- 経営者個人の状況把握
- 後継者候補の把握
- 相続時の問題点の把握
こうしたヒアリングから、現状の問題点を洗い出し、ご依頼いただく企業の実情に即した事業承継のスキームを作成してまいります。
メリット②事業承継に向けた経営改善
親族内承継、親族外承継、第三者承継(M&A)いずれのケースでも、事業承継に向けて、企業の経営改善は不可欠です。
特に第三者承継では、譲渡する側の企業が、いかに魅力的であるかが問われることになります。
「経営革新等支援機関」として登録されている当事務所であれば、企業の経営改善を経営者とご一緒に立案することが可能です。
なお、会社の事業の一部または全部を譲渡する「事業譲渡」という方法もあります。
詳しくは、下記のコラム記事をご覧ください。
メリット③他士業との連携によるサポート体制
事業承継に対処するには弁護士その他の専門家を含めたチームで対処する必要があります。
部分的な側面からだけの解決では不測の事態を生じさせることになりかねません。連携の取れるチームでの力が必要です。経営者はじめ関係者とのミーティングを行って重点課題を整理し、優先順位をつけて取捨選択をして着地点を模索することが求められています。
当事務所では、弁護士、税理士、社会保険労務士、行政書士がワンチームで承継問題にあたることが可能です。
メリット④手厚い事業承継後のサポート体制
事業承継では、承継後も、財産の承継、経営の承継についてサポートが重要です。
経営の承継については、株主構成の見直しや、事業計画の見直し・策定、財産承継については、後継者のご意向に沿った資産承継計画を策定し、実施するといったサポートが主に必要になると考えられます。
財務の面では、税理士が中心となり、法務の面では、弁護士が中心となって、ワンチームでサポートしてまいります。
メリット⑤新宿駅から徒歩3分
当事務所は、新宿駅南口改札から徒歩3分というロケーションにあります。アクセスもよく、お気軽にご相談いただけるものと思います。
事態は、時間の経過とともに悪化してしまうため、早期のご相談が何より効果的です。
後継者が見つからず廃業を検討している経営者様や、事業承継でお悩みの経営者様がいらっしゃいましたら、是非ご相談ください。事業承継でお悩みの経営者様の味方となって、多角的にサポートさせていただきます。