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相続税の税務調査とは?

相続税申告を行った後にも、税務調査が行われることがあります。

今回は、相続税の税務調査について詳しくご紹介します。

相続税の税務調査について正しい知識を持っていただくことで、過大な不安を持つ必要がないと考えていただければ幸いです。

1.相続税の税務調査とは?

1-1.相続税の税務調査とは?

相続税の税務調査とは、提出した相続税申告書の内容が正しいかを、税務署の職員が調査しに来ることをいいます。申告をしていない場合も、本当に申告の必要がなかったのかを調査します。

税務調査の結果、相続財産の申告漏れや相続税額の計算に誤りなどがあり、納付した税額が不足してれば、修正申告を行って相続税の追加分を納めることになります。

1-2.相続税の税務調査の実情

数ある税金の中でも、税務調査が入る確率が群を抜いて高いのが相続税です。相続税はその性格上、申告漏れが発生する可能性が高く、追徴税も高額になりやすいため、税務署も優先的に調べるからです。

令和5年事務年度(2023年)の国税庁の調査によると、令和4年に行われた税務調査では、申告数155,740件*に対して、8,556件**の実地調査が行われました。税務調査の件数が全申告数に占める割合は、相続税が5.5%で、法人税の1.9%、所得税の1.5%と比較すると、相続税の税務調査率の高さが分かります。

コロナ禍の影響で税務調査は一時減少しましたが、それ以前には全申告の20%、5人に1人が税務調査を受けていました。

税務調査の結果、税務調査した84%に相当する7,200 件**に申告漏れなどの追徴が発生しています。

【参考サイト】*「令和5年分 相続税の申告事績の概要」**「令和5年事務年度における相続税の調査等の状況」|国税庁
なお、国税庁では、「相続税の申告事績」については基本的に「年度(4月1日~3月31日」を使い、相続税の調査については「事務年度(7月1日~6月30日)」を使っており、期間にブレがある点をご了承ください。

1-3.いつ来る?何年後?相続税の税務調査が入りやすい時期

相続税の税務調査は、申告後すぐに入る可能性は低く、申告から1~2年後が入りやすい時期です。

更に、秋が税務調査のピークとなっており、これは、毎年7月にある大きな税務署の人事異動が落ち着いてから、相続税調査に本腰を入れるためと言われています。

よって、税務調査が入りやすい時期は、申告から1年後または2年後の秋頃ということになります。

1-4.相続税の税務調査対象の決め方

調査対象となる人はランダムに選ばれているわけではありません。

しかし、次のような方には、優先的に調査が入ることが想定されます。

税理士に依頼していない相続人

相続税計算は複雑です。納税者自身が作成した申告書は、どうしても誤りがある可能性が高くなります。

相続税申告書には税理士の署名欄があり、税理士が関与したかどうかを見分けることは容易なため、ご自分で作成した申告書には、税務調査が入りやすくなります。

2億円を超える資産の相続人

被相続人が所有していた財産が2億円を超え、相続税が高額になる富裕層は、申告漏れや意図的な財産隠しをしている可能性が高くなるため、狙われやすい傾向にあります。

無申告の相続人

税務署は、相続税申告が必要になるであろう人の財産状況を、生前からある程度把握しています。

そのため、税務署が相続税申告を想定していた財産に申告がなければ、税務調査で確認する可能性は高まります。

2.相続税の税務調査の流れ

実際に相続税の税務調査が入ることになった場合の流れをご紹介します。

2-1.税務署からの事前連絡

通常、税務調査は任意の調査であり、税務署の調査員が強制的にご家庭に踏み込むことはできません。

税理士に依頼した場合には、事前に税務署から税理士に連絡があり、税理士から納税者への連絡を経て、予定をすり合わせて調査日を決定します。

一方、ご自分で申告した場合には、直接ご自宅に税務署から連絡があり、調査の予定をすり合わせることになります。

2-2.税務調査前に準備すべきこと

税務調査の日は、連絡があってから2週間から2ヶ月程度先になるのが通常です。それまでに次の準備をすることができます。

申告書の見直し

税務調査で相続税の追徴が発生すると、追徴税額に対して10%の過少申告加算税がかかります。一方で、税務調査が入る前に自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税は追徴税額の5%です。

万が一、申告書にミスがあったとしても、税務調査前に見直しを行って修正申告することで、加算税を抑えることができます。

税務調査での必要資料の準備

事前に税務署から準備しておくように指示された資料は、漏れなく準備しておきましょう。その他にも次のような資料を手元に置いておくと、調査がスムーズに進みます。

ただし、調査官から見せてほしいと言われてから、求められた資料のみを提供するだけでかまいません。

  • 申告書を作成する際に使用した資料の原本すべて(謄本、不動産の権利書など)
  • 全相続人の預金通帳
  • 全相続人の認印

2-3.税務調査の当日

通常、調査は2日間、調査官2人で行われます。調査時間は午前10時~午後5時までが多く、早い場合には午後3時には終了します。

1日目の午前中は、相続の概要を知るための聞き取りの時間となることが一般的です。午前中の聞き取りを踏まえたうえで、1日目の午後と、2日目の午前中に調査が行われ、2日目午後または夕方に調査結果の報告となります。

調査官は、基本的にひたすら資料と申告書と見比べて、追徴の理由を探します。

聞き取りが終了すれば、納税者は、その場を離れることができます。ただし、調査官から追加資料の提示のお願いや、質問があった際に、すぐに対応できる場所にいた方が良いでしょう。

また、税理士が税務調査に立ち会うことができる場合には、1日目午前の聞き取りと、2日目午後の調査結果報告に同席してもらうと、必要に応じて、納税者に代わって回答することができます。

3.相続税の税務調査はどこまで調べる?

調査官は、税務調査でどんなことを聞き、どんな調査をするのかをご紹介します。

3-1.被相続人について

税務調査では、被相続人がどのような人であったのかを詳しく聞かれます。

調査官は、職種や、交友関係、性格、趣味、生活費などを聞き取ることで、収入と支出をある程度予測し、死亡時点で残っていたと思われる預金額や財産額までをも推測します。

また、名義財産の有無を確認するために、被相続人の筆跡と印鑑の確認は必ず行われると考えてください。

3-2.被相続人の親族について

被相続人のご家族や親戚についても、調査官が年齢や職業などを聞き取ることで、不相応な財産を所有していないかを調べます。

例えば、被相続人の子供が20代で何千万円もの預金があれば、被相続人から生前贈与を受けている可能性があり、贈与税の申告漏れはないか、生前贈与加算の漏れはないかなどが調べられます。

3-3.取引があった金融機関や証券会社について

金融資産は不動産と違って評価額が明確であり、調査官が申告漏れを指摘しやすい資産です。

金融機関などが粗品として配っているカレンダーやボールペンなどから取引先を調べ、金融資産の申告漏れを探します。

3-4.貸金庫の確認

被相続人に銀行の貸金庫や、民間会社の貸倉庫と契約がある場合や、蔵を所有している場合など、自宅以外に財産を保管する場所があれば、必ず調べられます。

4.相続税の税務調査への対処法

税務調査への対応の大原則は、「絶対に嘘をつかない」ことです。
調査官はありとあらゆる相続税の税務調査を経験しています。嘘をついても必ず見抜かれてしまい、悪質であれば重加算税が課されて、最悪の場合には、刑事罰となってしまいます。

聞かれたこと以上のことを話す必要はありませんが、端的かつ誠実に対応することが大切です。

通帳や現金などが保管されていた場所を見せるように調査官に求められた場合には、寝室など、どうしても見せたくない場所を除き、疑いを持たせないためにも見せた方が良いでしょう。

5.相続税の税務調査で追徴された場合

前述の通り、相続税の税務調査が入っると、最新の統計では84%の確率で追徴が発生します。

もし追徴となった場合には、どのような税金がいくらかかるのかご紹介します。

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5-1.延滞税が課税される

追徴は、納めた相続税が本来納めるべき額より少なかったことで発生します。

そのため、追加で納める相続税には、利息として延滞税が課されます。

税率は、以下の通りです。

納期限の翌日から2月を経過する日まで 2025年12月31日まで 年2.4%
2026年1月1日~2026年12月31日 年2.8%
納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後 2025年12月31日まで 年8.7%
2026年1月1日~2026年12月31日 年9.1%

5-2.いずれかの加算税が加算される

延滞税のほかにも、次のいずれかの加算税がかかります。

過少申告加算税

過少申告加算税は、相続税を少なく申告していたことに対する罰金であり、本来納めるべき税額から実際に収めた税額の差額に対して以下の税率を掛けて算出します。

税率は追徴額と修正申告を行ったタイミングによって細かく分けられています。

追徴税額 修正申告のタイミング
税務調査前 税務調査の事前連絡から調査開始まで 税務調査後
50万円以下の部分 5% 10%
50万円超の部分 10% 15%

無申告加算税

相続税申告の必要があるにもかかわらず、申告自体を行っていなかったことに対する罰金です。

過少申告加算税は追徴税額部分に対してかかりますが、無申告加算税は無申告なので追徴税=相続税全額となります。

税率の別れ方は過少申告加算税と同様です。

相続税額 期限後申告のタイミング
税務調査前 税務調査の事前連絡から調査開始まで 税務調査後
50万円以下の部分 5% 10% 15%
50万円超の部分 15% 20%

重加算税

追徴となった理由が意図的な財産隠しなど悪質な場合に、過少申告加算税または無申告加算税に代わってかかります。

次の通り、税率も非常に高く設定されており、相続税を丸々申告しなかった無申告の方が重たくなっています。

過少申告の場合 35%
無申告の場合 40%

5-3.追徴税が払えない場合

追徴課税は、多くの人にとって予想外に発生するため、納税資金がないという事態も考えられます。しかし、追徴税の納付は原則として現金一括であり、納付しないままでいると最終的には財産を差し押さえられてしまいます。

さらに、延滞税は、相続税の発生から納付までがかかり続けてます。

このような泥沼状態にならないための救済制度として、次の制度があります。

  • 換価の猶予申請
    差し押さえられた財産の売却や、新たな差し押さえを最大で1年間分納することができます。
  • 納税の猶予期間延長申請
    追徴税の納税を最大で2年分納することができます。

これらの猶予期間中の延滞税については、その全部または一部が免除される点も魅力です。

5-4.追徴に不服がある場合

税務調査により受けた追徴の指摘に納得がいかない場合には、指摘を受けた日の翌日から3ヵ月以内に限り、税務署長に対して不服申し立てをすることができます。
そして、この不服申し立てに対する決定内容にも納得できない場合には、国税不服審判所への不服申し立てへ進むことができます。

この場合には、税務署への不服申し立てに対する決定の通知を受けた日の翌日から1ヶ月以内に国税不服審判所へ再審請求を行わなければなりません。

6.相続税の税務調査の時効について

相続税の税務調査自体に時効はありません。

しかし、相続税は、申告期限から原則として5年経過すると、税務署の相続税を徴収する権利が時効により消滅します。相続税を免れるためなど悪意があったとみなされると、徴収権が消滅時効にかかるまで7年を要します。

しかし、前述の通り税務署は被相続人の財務状況を把握しており、国税通則法には「税務署は過去5年分まで遡って税務調査ができる」と定められているため、相続税を免れるのは至難の業です。

相続税は、しっかりと節税しながら申告することをお勧めします。

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