財産分与と税金
財産分与とは「離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。」
財産分与は以下を念頭に行われますが、税金がかかることもあります。
(1) 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の分配
(2) 離婚後の生活保障
(3) 離婚の原因を作ったことへの損害賠償
(1)の夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の分配の場合には、金銭で行われる場合には、通常受け取る側に贈与税はかかりません。相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。
しかし、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合は、受取側にその多過ぎる部分について贈与税が課されることがあります。
また、(1)が不動産による財産分与の場合は渡す側に分与義務の消滅の対価として譲渡所得税がかかる場合があります。この場合、居住用不動産を引き渡した場合には、居住用不動産の譲渡所得の特例(居住用の3000万円控除)の適用がある場合がありますので忘れないようにしましょう。
財産分与を不動産で受け取った側では、不動産取得税は非課税ですが登記に際して登録免許税は課されることになります。
(2)の離婚後の生活の保障のために金銭を支払う場合には、社会通念上、合理的な額であれば贈与税はかかりません。
(3)も同様に離婚の原因を作ったことによって支払われる慰謝料、損害賠償等は所得税法上非課税とされていますので、受取った側に課税はありません。