上原note
2022.07.06

「配偶者の税額軽減」と2次相続

以下の「配偶者の税額軽減」規定はよく知られています。

被相続人の配偶者については、次の金額のうちいずれか多い金額まで相続税はかからない。
  A:1億6,000万円
  B:被相続人の遺産総額の1/2
  MAX(A:B)
  
ただし、「配偶者の税額軽減」を適用するにあたっては次の2点が要件です。

(1)相続税の申告を行う・・・

相続税額が「0」であっても申告の必要があります。

(2)遺産分割をする・・・・・

「配偶者の税額軽減」は財産の分割が行われていないと実際の取得分の計算を行うことができません。このため、申告期限までに遺産分割が未了の場合には、当初の申告では相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で申告します。その後、3年以内に遺産分割をしたときは、更正の請求により配偶者が取得した財産について「配偶者の税額軽減」を適用するというしくみになっています。

さらに、注意点があります。
「配偶者の税額軽減」が適用されれば、少なくとも1億6000万円まで相続税がかからないことになりますが、2次相続を考慮する必要があります。

夫婦の年齢が近ければ、一方の配偶者の相手方の相続開始も近いと考えられます。残された配偶者が再婚しなければ2次相続では配偶者がいないため「配偶者の税額軽減」の適用はありません。

したがって、1次相続で配偶者が「配偶者の税額軽減」の規定を使ってめいっぱい相続すると、2次相続では多額の相続税が課されるということになりかねません。

遺産分割にあたっては1次相続のことだけでなく2次相続も考慮に入れた遺産分割がのぞまれます。


相続メルマガ「あんしん相続」にご登録で、各種お役立ちリーフレットを無料ダウンロードできます。

各種お役立ちリーフレットを無料ダウンロード
遺産分割のトラブルを避けるには
普通養子と特別養子
「上原note」の一覧に戻る