上原note
2022.11.22
持ち回り保証金の取り扱い
貸家を売却した場合に「預かり保証金を持ち回り」している場合があります。
「預かり保証金の持ち回り」とは売主と買主の間で「預かり保証金」の精算を行わずに買主が「預かり保証金」を引き継ぐことを言います。
売主Aが店子Xから100万円の預かり保証金を預かっていた貸家を保証金の精算は行わずに1000万円で買主Bに売却したとします。将来、店子Xが退去した場合には買主BがXに返還する約束です。
この場合、AとBの間の売却代金の精算は1000万円ですが譲渡所得の計算上、Aの売却代金は1000万円ではなく1100万円となることになります。
なぜなら、将来、店子Xが退去した場合にBは預かり保証金100万円をXに返還する義務が生じ、Bは結果として購入代金1000万円+保証金100万円の1100万円で購入したことになるからです。Aは売却時に保証金100万円の返還義務を免れていることになります。
もちろん、Bは購入時の取得費はこの預かり保証金100万円を1000万円に加えた1100万円となります。
貸家を売買する場合には預り保証金に注意しましょう。