上原note
2023.08.17
相続分の譲渡
兄が相続に非協力的で遺産分割ができない状況が続いている、そんな事例です。
父が亡くなり、相続人は兄妹の2人です。
兄は、以前母が亡くなった時にも非協力的で税務署からの催促があってやっと分割できたものの兄の相続税は私が払いましたが、兄は今も返金してくれません。
分割ができないと、納税額も高額になりお互いにいいことはありませんし、申告期限に遅れると、高い延滞税が掛かります。また、連帯納付義務があって未納の相続人分も他の相続人が支払わなくてはならない怖い制度になっているからです。
今回の父の相続では、そのようなことがないようにとの相談です。
今回の場合、兄妹で話し合いによる遺産分割はとても難しい状況でしたので、金銭での解決しかないと考え、お兄さんの相続分を譲渡してもらってはどうかと提案しました。
「相続分の譲渡」とは相続人を持っている遺産分割請求権を譲渡してもらい遺産分割には参加させないという方法です。相続分の譲渡ができれば、相続人である妹が単独で相続することが可能です。
問題はいくらで相続分を譲渡してもらうかですが、法定相続分の1/2を上限に話し合ったところ、何とか合意を取り付けることができました。
相続税申告の委任も受け、相続税額を差し引いたところで兄への支払いを行って、無事に相続手続きを完了することができました。
相続分の譲渡は、相続人が多数になる場合や、高齢で遺産分割に参加できないなどの場合にも利用できる便利な制度です。