上原note
2023.08.09
家族信託と遺言はどちらが優先するのか?
数年前に、父が所有するアパートを長男受託者として指名し、信託終了時には長男に帰属するとしましたが、その父が亡くなりました。
ところが、相続手続きをしている過程で遺言が見つかり、この「アパートは二男に相続させる」とありました。しかも、信託契約より前に作成されたものでした。
この場合どのように考えるべきでしょうか。
遺言は民法に基づく制度です。
信託は民法の特別法とされる信託法に基づくものです。
法律の考え方として特別法は一般法に優先します。
「特別の定めがある場合を除き」などとする条文をよく見るところです。
この結果、信託法は民法に優先し、信託が遺言に優先することになります。
遺言に記載された「アパートは二男に相続させる」の部分は信託契約が成立した段階で遺言の一部が撤回されたものと見做されます。
遺言は撤回の可能性があり心配な面もありますが、信託は契約を解除しなければその効力が失われることはありません。ただし、遺留分の問題は生じますので注意したいところです。