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国税庁の「令和6年度の法人税の統計情報」によると、普通法人の申告法人数3,006,528社のうち、赤字の法人数は1,993,768社です。約3分の2が赤字の法人であることになります。
一部のケースを除けば、赤字にしたい経営者はおらず、「なんとか黒字にしたい」と、もがいておられることでしょう。
ここでは、そんな経営者の方に向けて、赤字を黒字化するために、必要な検討事項やプロセスについて、財務のプロである税理士が解説します。
1.赤字の原因を突き止める
黒字化を目指すためには、まず赤字の原因を正確に把握する必要があります。会社全体では赤字であっても、商品別・顧客別・部門別に分析すると、利益を生み出している事業や取引先が見つかるケースは少なくありません。
そのため、どの商品や取引先で利益が出ているのか、反対にどこで利益が出ていないのかを把握することが重要です。
実際には、経費・粗利率・売上のどれか一つだけが赤字の原因となっているケースは多くありません。利益率の低い仕事が増えた結果として人件費負担が重くなったり、売上減少によって固定費が負担になったりするなど、複数の要因が重なって赤字に陥っていることが一般的です。
まずは損益計算書や試算表を確認し、自社の赤字がどこから生じているのかを整理しましょう。
1-1.無駄な経費が多い
どれだけ売上を確保していても、支出がそれ以上に膨らんでいれば必然的に赤字となります。たとえば、事業規模に見合っていない過剰な人件費や、費用対効果の検証が不十分な広告宣伝費、オフィスや店舗の家賃といった固定費が経営を圧迫しているケースが代表的です。
固定費の割合が高い企業ほど売上変動の影響を受けやすく、わずかな環境変化で赤字に転落するリスクが高まります。日々の業務の中で、気づかないうちに不要な出費が膨らんでいないか、定期的に数値を確認し、不要な支出がないか見直しましょう。
1-2.粗利率が低い
商品やサービスの販売価格が原価を下回っている場合は、売れば売るほど損失が拡大する状態です。まずは価格設定や原価構造の見直しが必要です。
また、適正価格で販売していても、交渉不足などで仕入れ原価が高すぎれば粗利率は低くなり、手元に利益が残りません。さらに、在庫管理が甘く商品の廃棄処分が多い場合や、営業・配送ルートに無駄があり余計なコストがかかっているケースでも粗利率は低下します。
1-3.売上が少ない
売上は企業の生命線であり、売上不足は固定費を賄えずに赤字となる最も直接的な原因です。提供する商品やサービスの価格設定が高すぎる、あるいは安すぎるといったミスマッチや、市場の変化に対応できず競合他社へ顧客が流出していること、販売戦略の見直し不足などが背景にあります。
また、新規顧客の獲得や既存顧客へのフォローが十分でないことも、売上減少の要因となります。
2.赤字を黒字化する方法
赤字の原因によって有効な対策は異なります。経費削減だけで解決する会社もあれば、売上改善が必要な会社もあります。
2-1.経費削減
売上を増やすのには時間がかかりますが、経費削減は即効性の高い黒字化対策です。ただし、社員のモチベーションまで下がらないように注意が必要です。
2-1-1.固定費の見直し(人件費、家賃、通信費など)
毎月必ず発生する固定費の削減は、利益改善に直結します。オフィスの賃料や通信費、各種サブスクリプション費用などは、契約内容の見直しや複数の業者から相見積もりを取得することで、業務に影響を与えずに大幅なコスト削減につながる場合があります。
ただし、やみくもなコストカットは危険です。必要な人材まで削減してしまえば、社員のモチベーション低下や商品・サービスの品質低下を招き、結果として客離れによる赤字拡大のリスクがあります。
2-1-2.変動費(販管費)の削減(外注と内製化の検討、業務効率化など)
外注業務については、内製化と外注継続のどちらが効率的かを検証し、最適な方法を選択しましょう。
また、業務の標準化やITツールの活用により、業務効率化を図ることも有効です。
特に、最近は、AIの登場により、簡単な事務作業であればAIに任せることもできるようになりました。企画アイデア検討、データの整理、資料・レポート作成など、AIを活用すると、コスト・時間を大幅に効率化することも可能です。
2-2.粗利率の改善
2-2-1.仕入れルート・方法の見直し
過去の販売実績などを参考に在庫量を見直し、多すぎず少なすぎない適正在庫を保つことで、廃棄ロスや保管コストを削減できます。
仕入れについては、まとめ買いによる単価の引き下げや、仕入先の変更を交渉することで売上原価を下げられる可能性があります。ただし、コスト削減を優先するあまり品質を低下させないよう注意が必要です。
2-2-2.扱う商品・サービスの変更
扱う商品の構成を見直し、利益率の高い商品の販売比率を増やせば、会社全体の粗利率も改善しやすくなります。また、不良品や手直し、返品といった利益の足を引っ張るマイナス要因を減らす社内努力も、粗利率の改善に大きく貢献します。
2-3.売上アップ
2-3-1.選択と集中
月次試算表だけでは分からない場合は、商品別や取引先別に売上と原価を集計し、どこで利益が出ているのかを確認しましょう。利益が出ていない事業や商品については、改善できるかを検討し、難しい場合は縮小や撤退も選択肢になります。
限られた人員や資金を利益の出ている事業へ集中させることで、会社全体の収益改善を図りやすくなります。
2-3-2.販路拡大と客単価向上
すでに取引実績がある顧客であれば、新規開拓よりも提案しやすく、追加受注につながるケースがあります。アフターサービスの充実やクロスセル・アップセルなどにより、客単価の向上を目指すことが効率的です。同時に、商品やサービスの付加価値を高め、適切な価格設定(値上げ)を行うことで、利益率を改善しながら売上を伸ばしていくことが大切です。
3.事例から考える、赤字を黒字化する具体的な方法
ここで、お客様の事例をもとに、赤字を黒字化する具体的な方法について考えてみましょう。
【事例】造園業の社長、予算管理の徹底で、赤字化を黒字化へ
- Y社のS社長は庭造りで有名で、コンクールに優勝されたこともある造園家
- S社長の庭造りへのこだわりは強く、自分が気に入るまで手を加えるため、費用が予算をオーバーしてしまうことが多かった
- 結果として、毎年赤字に陥っており、社員の給与水準を高いとはいえなかった
- ある日の講演会で、社員の家族のために、黒字化しなければと気づき、当事務所にご相談された
S社長のように、親分肌の経営者にはよくありがちですが、仕事の情熱や質は高いのですが、どうしても費用が当初の予算をオーバーしてしまうことがあります。
そこで、現状の仕入れに関する見積内容を詳細に把握し、確実に利益が出るように予算計画を立てます。そして、細かい費用のチェックや作業時間の管理を厳しく行うことで、予算管理を徹底します。
120%の品質を目指したい気持ちはあるとしても、お客様は本当にその価格でその品質を求めているのか?もしかしたら、単なる自己満足になっていないか?
石材・ブロック・樹木など、安価な部材でも品質や見た目に大きな影響がないものであれば、それに代替していきます。
部材の仕入れルートについても、今まで必要になった時点で店舗に行き細かく購入していたものを、一部のルートに一本化し、大量仕入れをする代わりに値下げ交渉をします。
このような工夫を繰り返すことで、費用を削減し、赤字の黒字化が達成されていきます。
4.黒字化のためのポイント
4-1.売上よりも利益を意識する
「売上=利益」ではありません。売上規模の拡大ばかりを追うと、過剰な設備投資や広告費の増大によってキャッシュフローが悪化し、結果的にお金が減ってしまうケースがあります。
黒字化を目指すのであれば、単なる売上高ではなく、売上総利益や営業利益など、どの段階で利益が減っているのかを確認しながら経営することが大切です。
4-2.目標利益から逆算する
黒字化を実現するためには、「いくら売上を作れば、固定費と目標利益を賄えるのか」という損益分岐点売上高を正確に算出する必要があります。借入金の元本返済や納税資金、将来の設備投資資金なども考慮したうえで、必要な利益水準を設定しましょう。
その必要利益と固定費から逆算して、達成すべき売上高や削減すべきコストの目標値を明確に定めることで、何を優先して取り組むべきかが明確になります。
5.黒字化に向けた計画と実行
5-1.財務諸表の分析
まずは自社の現状を正確に把握するため、損益計算書や貸借対照表、資金繰り表などを分析します。部門別・商品別に利益率や固定費の内訳を確認し、どこに問題があり、悪化の兆候がないかを見極めます。
特に、前期との比較や月ごとの推移を確認すると、利益悪化の原因を見つけやすくなります。現状を正しく把握しなければ、適切な改善策を立てることはできません。
5-2.短期・中期の計画を立てる
現状分析をもとに、3〜5年先を見据えた中期経営計画と、より具体的な短期の実行計画を策定します。目標を数値化し、「誰が・いつまでに・何をするか」という行動計画にまで落とし込むことが大切です。
また、黒字転換するまでの期間は資金が不足する可能性があるため、資金繰り表を作成し、必要な資金対策を併せて講じます。
自助努力だけでは資金がショートする場合は、金融機関へ具体的な改善計画を提示し、融資や返済条件の変更(リスケジュール)を交渉して再建のための時間的猶予を確保したり、状況によっては、金融機関や認定支援機関と相談しながら利用できる制度融資などを検討することもあります。
5-3.計画を実行する
計画は立てて終わりではありません。月次や四半期ごとに実績と計画を比較し、差異が生じた場合は原因分析と改善を行いましょう。また、管理職や社員と目標を共有し、継続的に取り組むことが重要です。
5-4.税理士など財務の専門家にアドバイスしてもらう
経営不振から脱却する際、自社だけで改善策を考えていると、問題点を見落としてしまうことがあります。顧問税理士など財務の専門家に相談することで、資金繰りが厳しい場合は、金融機関との交渉方法や資金計画について助言を受けられることがあります。
6.赤字でお悩みでしたら、当事務所へご相談ください
当事務所のお客様は、ほとんどが中小企業の経営者様です。経営者様の中には、長年の赤字に苦しんでいる方もいらっしゃいました。
当事務所では、そのような経営者様からお話を伺い、赤字の原因を突き止め、改善策を提案して、黒字化に努めてまいりました。
もちろん、税理士はお客様の業務を詳しく知っているわけではなく、実際に固定費を削減したり、売上アップのために努力するのはお客様ご自身になりますが、少なくとも財務の面からお力になれる自信はございます。
もし、赤字をどう黒字化すればいいか、お悩みでしたら、まずは当事務所にご相談ください。お話を詳しく伺ったうえで、今後の対応方法や、方向性を検討させていただきます。

















