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令和8年(2026年)税制改正の主要ポイントをわかりやすく解説

1.令和8年度(2026年度)税制改正のポイント

2025年12月中旬に「令和8年度(2026年度)税制改正大綱」が公表されました。

今回の改正は、中小企業経営者にとって極めて重要な改正になっており、デフレ脱却を確実にするための「178万円の壁」への対応(所得税減税)、国内投資を強力に後押しする新たな設備投資税制の創設、賃上げ促進税制の中小企業重点化、そしてインボイス制度導入後の事務負担軽減を目的とした経過措置の延長などが盛り込まれています。

これらの改正は、人手不足への対応や生産性向上を目指す中小企業にとって、意思決定を大きく左右する変革になると考えられます。

令和8年度(2026年度)税制改正について、主に、中小企業および個人に関する重要ポイントに絞って、わかりやすく解説します。

2.法人税の改正

法人税改正は、各種制度の重点化・厳格化と強い経済の実現に向けた国内投資の促進が中心になっています。

2-1.少額減価償却資産の特例の拡充

中小企業者等が取得した30万円未満の資産を一括で経費にできる「少額減価償却資産の特例」が大幅に拡充・延長され、即時償却が可能な取得価額の上限が、現行の30万円未満から40万円未満に引き上げられる予定です。

この改正により、高性能なパソコンやサーバー、工作機械などの設備を、より広い範囲で購入した年度に全額経費にすることが可能になり、キャッシュフローの改善に繋がるでしょう。

なお、少額減価償却資産の特例は2029年3月末まで3年間延長されます。年間の合計限度額は現行の300万円から変更されません。

2-2.賃上げ促進税制の見直し

賃上げ促進税制は、より中小企業を重点的に支援する仕組みとなります。大企業向け制度が2025年度末に前倒しで廃止され、中堅企業向けについても要件が厳格化されたうえで廃止される方向です。

中小企業向けの枠組みについては基本的に維持されますが、これまでの「教育訓練費の上乗せ措置」は廃止されるなど、制度の整理が行われます。教育訓練費による加算分(10%)がなくなるため、純粋な給与等支給額の増加に基づいた計画策定が求められるでしょう。

2-3.設備投資促進税制の創設

「強い経済」を実現するため、建物や構築物までを対象にした「特定生産性向上設備等投資促進税制」が新設されます。

この制度では、一定の投資計画に基づき経済産業大臣の確認を受けた設備について「即時償却」または「最大7%の税額控除」(建物・構築物は4%)のいずれかを選択適用することができます。

中小企業の場合、投資計画期間中の投資合計額が5億円以上であり、年平均の投資利益率(ROI)が15%以上見込まれることが要件になります。

2-4.研究開発税制の見直し

AI、量子、半導体、バイオ、宇宙などの特定分野の研究開発費について、税額控除率を最大40%(大学等との共同研究は50%)とする「戦略技術領域型」が創設されます。

2-5.その他の法人税改正

その他の主な法人税改正は次のとおりです。

  • オープンイノベーション促進税制の見直し
  • 企業グループ間の取引に係る書類保存の特例の創設
  • 認定株式分配に係る課税の特例の見直し
  • 特定資産の買換えに係る期限延長と一部見直し

3.消費税の改正

消費税改正は、主にインボイス制度導入後の円滑な定着に向けた経過措置の延長・見直しと、国境を越えた電子商取引(EC)への課税適正化が大きな柱になっています。

3-1.経過措置の延長-2割特例の見直し

インボイス発行事業者となった免税事業者の負担を軽減する「2割特例(納税額を売上税額の2割とする)」は、2026年9月末で終了します。

しかし、制度の定着を図るため、個人事業者については2027年・2028年の2年間に限り、納税額を売上税額の「3割」とする「3割特例」が講じられることになります。納税額は2割から3割に増えるものの、全額納付に比べれば依然として大きな負担軽減になります。

3-2.経過措置の延長-免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直し

免税事業者からの仕入れに対し、一定割合の控除を認める経過措置の引き下げ幅が緩和されます。当初は2026年10月からは50%に下がる予定でしたが、70%控除へと引下げ幅が縮小され、その後2028年10月から50%、2030年10月から30%と段階的に縮小されます。

3-3.国境を越えた電子商取引に係る課税の見直し

国境を越えたECの適正化に向け、1万円以下の少額輸入貨物に適用されていた消費税の免税制度が廃止されます。

また、海外事業者による無申告を防ぐため、取引額が50億円を超える大規模プラットフォーム事業者に納税義務を転換する「プラットフォーム課税」も2028年4月より適用予定です。

3-4.その他の消費税改正

その他の主な消費税改正は次のとおりです。

  • 暗号通貨に係る課税関係の見直し
  • 非居住者に対する不動産仲介手数料等にかかる輸出免税の見直し

4.所得税の改正

所得税の改正は、長引く物価高への対応(生活支援)と税負担の公平性の確保が大きな柱になっています。

4-1.年収の壁を「178万円」に引き上げ

所得税が発生しなくなる年収のボーダーラインが160万円から178万円へと18万円引き上げられます。

現行制度(令和7年度時点)では、所得税が発生しない年収のラインは160万円(基礎控除95万円+給与所得控除の最低保障額65万円の合計)になっています。今回の改正では、物価高への対応としてこの枠を18万円引き上げ、基礎控除104万円+給与所得控除の最低保障額74万円の合計178万円になります。

この改正は、合計所得金額が2,350万円以下の幅広い層が対象になります。特に年収665万円以下の中低所得者に対しては、基礎控除額が特例によって一律104万円になるよう調整され、給与所得者の多くが恩恵を受ける見込みです。

現行 (2025年)  改正後 (2026-27年) 変更幅
基礎控除 95万円 104万円(※) +9万円
給与所得控除
(最低額)
65万円  74万円 +9万円
合計
(非課税ボーダーライン)
160万円  178万円 +18万円

 ※基礎控除104万円には本則62万円と特例加算42万円が含まれます。

4-2.マイカー通勤手当・食事支給の非課税限度額の拡大

福利厚生に関連する非課税枠が、物価上昇を反映して大幅に拡大されます。

通勤手当

遠距離通勤者の限度額が引き上げられるほか、自家用車通勤者が駐車場を利用する場合、月額5,000円を上限に駐車場代を非課税枠に加算できるようになります。

食事支給

会社が補助する昼食代などの非課税限度額が、月額3,500円から7,500円(税抜)へと2倍以上に引き上げられます。

4-3.青色申告特別控除の見直し

帳簿の付け方や申告方法による控除額が、デジタル化推進のために見直しが行われます。複式簿記に加え、e-Tax(電子申告)を行う場合には、現行の55万円から65万円に控除額が増額され、さらに「優良な電子帳簿(訂正履歴が残る等の要件を満たすもの)」で保存している場合には、75万円の控除が適用される見込みです。

一方、現行制度で55万円の控除が認められている書面提出の場合について、控除額が10万円に縮小される予定です。今後は、控除額を維持する観点から、電子申告や電子帳簿保存への対応を検討する事業者が増加すると考えられます。

4-4.その他の所得税改正

その他の主な所得税改正は次のとおりです。

  • 住宅ローン控除の拡充・延長
  • NISAの対象年齢を0歳へ拡充(つみたて投資枠)
  • 暗号資産(仮想通貨)を20.315%の申告分離課税へ移行
  • 極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し
  • 防衛特別所得税(仮称)の創設

5.事業承継関連の改正

事業承継関連の主な改正は、事業承継税制(特例措置)の期限延長になります。

5-1.事業承継税制の計画提出期限の延長

後継者への株式承継時の税金を猶予または免除する制度である事業承継税制(法人版)の「特例承継計画」の提出期限が1年6か月延長され、2027年9月30日までになります。また、個人版についても2年6か月延長され、2028年9月30日までになります。

まとめ

令和8年度(2026年度)税制改正について紹介しました。

本内容は、「税制改正大綱」という形で、まだ案の段階ですので、今後の国会での法改正を通して、正式に決定されます。

世界的な環境や社会構造の変化に伴って、今後もいろいろな観点で税制改正がされることが予想されますので、注視しておく必要があります。

税制改正や新制度が、会社経営や申告に及ぼす影響については、顧問税理士にご相談されると良いでしょう。

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