役員・従業員の社宅家賃を経費にする方法
会社の節税方法にはいろいろありますが、社宅の家賃を経費をする方法は、それなりに金額が大きく効果的であり、役員・社員の…[続きを読む]
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物価高騰や人手不足に伴って、労働者の賃金が上昇しています。
社員のモチベーションアップや、生活の向上のために、給料をアップさせたい。ただ、賃金アップで社会保険料などの人件費も合わせて増えてしまう、という悩みを抱えている経営者の方も多いでしょう。
ここでは、人件費を増やさずに社員の給料をあげる方法を紹介します。
といっても、特殊な方法ではなく、どの会社でも一般的にできる方法です。
持続的な賃上げを実現するためには、まず給与の原資となる利益を生み出すことが重要です。人件費負担を抑えながら給与アップを実現するためには、生産性の向上が最初に考えられます。
会計や企業経営の視点から見た「生産性」とは、企業が投入した経営資源(労働力や経費など)に対して、どれだけの「付加価値」を生み出したかを示す指標です。一般的な会計実務においては、付加価値は「売上高から外部購入価値を差し引いたもの」と定義されます。
中小企業において特に重要視すべきなのは「労働生産性(従業員一人当たりの付加価値額)」と「労働分配率(生み出した付加価値のうち、どれだけを人件費に充てたかを示す比率)」です。
生産性が高い状態とは、少ない人員や資源で効率的に多くの付加価値を獲得し、企業に利益を残しつつ従業員にも還元できる状態を指します。
生産性の向上がどのように給与アップにつながるのか、労働分配率60%を採用した概算例を見てみましょう。ここでの「人件費」とは、額面の給与だけでなく、賞与や会社負担の法定福利費(社会保険料など)、福利厚生費、退職金などをすべて含んだ総額を指します。
例えば、従業員8人の企業で売上総利益が8,000万円の場合、労働分配率60%とすると人件費の総額枠は4,800万円、1人当たりの人件費は600万円です。
ここで、生産性向上により同じ8人で売上総利益を8,800万円に引き上げると、労働分配率を同じ60%に維持しても人件費枠は5,280万円に拡大し、1人当たり660万円へと上昇します。
会社としてのコスト負担率を変えることなく、従業員に還元できる原資を生み出すことが可能になります。
会計上は、商品・サービスの高付加価値化や売上原価の削減によって売上総利益率(粗利率)を改善し、付加価値額を増やすことが、生産性向上につながります。ただし、固定費が高ければ赤字となるため、常に固定費とのバランスを踏まえる必要があります。
生産性向上だけでなく、業務効率化によって無駄なコストを削減することも、給与の原資を確保する有効な方法です。
業務効率化とは、既存の業務フローを見直し、無駄を排除することで、同じ成果をより少ない時間や経費で創出する取り組みです。会計的には、損益計算書の「販売費及び一般管理費(販管費)」を圧縮する活動に該当します。
販管費には給与、減価償却費、広告宣伝費、旅費交通費、消耗品費など様々な費用が含まれ、管理会計ではこれらを固定費・変動費に分類して分析し、整理・削減して利益を創出します。
従業員8人の企業で、売上総利益8,000万円、人件費比率60%(4,800万円)、人件費以外の販管費が2,400万円の場合、営業利益は800万円です。ここで業務効率化により人件費以外の販管費を240万円削減できれば、売上総利益がそのままでも、この削減分を原資として人件費枠を増やすことが可能です。
ただし、実務上はこの240万円を丸々給与のベースアップに回せるわけではありません。給与を上げれば、それに伴って会社負担の社会保険料(法定福利費)や福利厚生費、将来の退職金負担なども増加するためです。そのため、それらの増加分を差し引いた範囲内で給与をアップさせる形となり、会社の最終利益を維持したまま還元を行うことができます。
具体的な手段としては、AIやRPA、クラウドサービスなどのDXツール導入による定型業務の自動化やペーパーレス化が挙げられます。システム導入には固定費が発生しますが、投資対効果(ROI)がプラスとなれば、中長期的なキャッシュフローは改善します。
削減された経費を人的資本への投資に振り向けることで、従業員のモチベーションが高まり、さらなる生産性向上につながる好循環を構築できます。
「生産性向上」と「業務効率化」は似ているようですが、目指すゴール(目的)とアプローチが大きく異なります。一言でいうと、「業務効率化」は生産性向上のための「手段のひとつ」です。
「業務効率化」では、無駄な時間や経理を減らすことを目標にします。具体的には、残業時間を減らしたり、業務フローを見直して不要な工数を削減したりします。
一方、「生産性向上」では、投入した経営資源に対して、より大きな「付加価値」を生み出すことを目標にします。業務効率化だけでなく、商品・サービスの高付加価値化などにより、売上・利益の拡大を図ります。
給与の額面を引き上げると、所得税や住民税が増加するだけでなく、労使折半である社会保険料も重くのしかかります。給与が上がれば、おおむね15%前後の社会保険料(会社負担分)が増加すると見込まれます。
ここでは、会計・税務・労務の制度を活用して、人件費の総額を膨張させずに社員の実質的な手取り額を増やす方法の一部を紹介します。
会社が賃貸物件を法人契約し、社員に社宅として貸し与える制度です。住宅手当として現金を支給すると全額が給与課税され、社会保険料の算定対象にもなります。しかし、社宅制度を導入し、国税庁が定める基準に基づく「賃貸料相当額以上」を従業員から徴収すれば、会社が負担する家賃部分は給与として課税されません。
また、給与体系を見直して社宅制度へ切り替えた場合には、標準報酬月額が下がることがあり、労使双方の社会保険料負担が軽減される効果も期待できます。
出張が多い企業において、出張旅費規程を整備し、適正な日当を支給する手法です。日当は社会通念上妥当な範囲内であれば所得税・住民税が非課税となり、社会保険料の算定対象からも外れます。
また、会社側が支給する日当は旅費交通費等として消費税の仕入税額控除の対象になる場合があり、法人税・消費税の負担軽減につながる場合があります。
ただし、日当はあくまで業務目的の出張をした場合にのみ支給できるものであり、昇給の代わりとして日当を支給するような運用は税務調査で否認されるリスクがあるため、実態の伴った適正な運用が不可欠です。
業務に必要な資格取得やスキルアップのための研修費用を会社が負担する制度です。従業員が自己負担していた教育費を会社が肩代わりすることで、実質的な可処分所得が増加します。「研修費」や「教育研修費」として会社の損金に算入できるため、社員の成長を促す有効な投資となります。
賃上げや生産性向上のための設備投資を行う際、業務改善助成金などを活用することで、会社からの資金流出を抑えることができます。制度は定期的に改正されるため、最新の要件を確認して計画的に活用することが推奨されます。
以下の手法も、自社の状況に合わせて組み合わせることで実質手取りの増加に繋がります。
従業員が基本給の一部をDC掛金として拠出するか現金で受け取るかを選択できる制度です。掛金として拠出した額は、一定の要件のもとで標準報酬月額から除外され、税金や社会保険料が軽減されます。
ただし、将来の年金額や傷病手当金等の受給額が下がる可能性があるため、導入時には従業員への十分な説明が重要です。
給与として支払うのではなく、将来の退職金として積み立てる仕組みです。退職金は社会保険料の対象外であり、退職所得控除の税制優遇を受けられるため、生涯の手取り額を高める効果があります。
従業員への食事の現物支給は、一定の要件を満たせば非課税となります。毎日の生活費を非課税で補助できる有効な手法です。
上記に記載した「食事補助」以外に、社内で水・お茶・コーヒーなどを自由に飲めるようにしたり、映画館・レジャー施設・ジム等で割引を受けられるようにするなどの方法もあります。
ここまであげた方法は、どれも、給与の額面を増やすものではありませんので、結果的に、社会保険料の削減につながります。
なお、制度を活用して社員の手取りを増やしても、それだけでは持続的な賃上げは実現できません。長期的には、生産性向上と業務効率化によって利益を生み出し、その原資を給与へ還元することが重要です。
また、税務・社会保険・労務上の取り扱いは制度改正や企業ごとの状況によって異なります。制度を導入する際は、税理士・社会保険労務士などの専門家へ相談したうえで、自社に適した制度設計を行うことが重要です。
上記で説明した「生産性向上」と「業務効率化」は、未来会計図を利用して実現可能です。
未来会計図とは、簡単にいうと、現在、未来の利益と資金を把握して、問題点、課題を明らかにしてくれるとても便利なツールです。

貸借対照表・損益計算書などの決算書の重要な部分だけ抜き出して、どなたでも実践的に活用できるにしたものです。
当事務所では、この未来会計図を利用して、中小企業の生産性向上と業務効率化の支援をしています。勉強会・セミナーも随時開催しておりますので、お問い合わせください。
当事務所は、税理士、社会保険労務士、行政書士、弁護士の専門家集団です。誠実、信頼を旨にプロとしてお客様に“安心”をお届けします。税務会計、顧問税理士、創業支援、融資・資金調達などについてはお気軽にお問い合わせください。
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