上原note
2022.01.12
息子が父所有建物に増築したら贈与税?
父Aの建物を増改築する場合に、父Aには年金収入しかないために息子Bがその費用を出すということがあります。この場合の建物の所有権はどうなるのでしょうか?
これを不動産の付合といい民法では次のように定められています。
(不動産の付合) 第242条 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。
つまり、増築部分は父Aが所有権を取得することになります。そうするとその代金は当然息子Bから父Aへの贈与とされることになります。
このようになってしまうと、老朽化や増改築の際に困ったことになります。
そこで、考えられるのが事前に譲渡する方法です。
建物1000万円に増改築費用1000万円が生じたとします。
そこで、父Aの持分の1/2を息子Bが買取ります。1000×1/2=500万円
すると建物の持分は父A1/2、息子B1/2となります。
そこで息子Bが増築費用1000万円を支出すると、自分の持分1/2に対して500万円を支出し、残り500万円は建物の購入代金を父Aに支払ったことと同じになります。
この結果、父A、息子B共に1000万円の建物(持分各1/2)を所有することになり、贈与税は課されません。
もちろん父Aは建物1/2を譲渡しているため譲渡所得税が生じます。また、区分登記ができるような場合には、息子Bは単独所有として1000万円分の所有権を持つことが可能でしょう。また、登録免許税、不動産取得税なども生じる点に注意が必要です。