上原note
2022.08.10
インフレ時の相続時精算課税の活用
最近の円安、物価高に将来不安を感じる方も少なくないのではないでしょうか?
インフレになったら、今のままで大丈夫だろうかと心配になります。
相続でいえば、インフレ対策の一つとして相続時精算課税制度の利用が考えられます。
運用している株式がインフレになると価格は上昇して将来の相続税が増加する恐れがあります。
例えば、株式2,000万円をお持ちの場合に対策を取らなかったとします。
すると、将来株価が上昇し相続時に3,000万円となった場合には3,000万円を株式の評価額として相続財産に加える必要があります。
ところが、相続時精算課税制度を利用して生前に贈与するという対策をとった場合には、贈与税は非課税、相続のときの相続財産に加算する評価額は2,000万円のままとなり相続税法上大変有利に働きます。
相続時精算課税制度を適用するには要件があります。
- 財産を贈与した人(贈与者) → 60歳以上の父母又は祖父母
- 財産の贈与を受ける人(受贈者) → 18歳以上の者のうち、贈与者の子や孫など
- 贈与財産の価額から控除する金額 → 特別控除額2,500万円
- 贈与の翌年3月15日までに相続時精算課税による贈与税の確定申告をする
- 贈与者が死亡した場合には、贈与財産の価額を相続財産に加算する
上記の例でいえば、70歳の父が40歳の息子(直系卑属)に株式2,000万円<2,500万円を贈与し、相続時精算課税の適用を受けたというイメージです。
相続時精算課税は将来値上がりすると予測される資産を対象とされる場合だけでなく、贈与財産から生じる果実を早期に受贈者に移転しておきたい(収益不動産など)などの要望に応えるために利用されることがあります。
もちろん、贈与財産は贈与時から値下がりすることも考えられ、必ずしも有利となるわけではありません。
その点は慎重な判断が必要になります。