上原note
2024.08.01
遺言があっても安心ではない遺留分
相続財産の分割については「遺言を書いておきましょう」とはよく言われることです。
しかしながら、遺言を書いておいても失敗することがあります。
以下の例は遺言を書いていたのに失敗した例です。
被相続人は夫で、相続人は妻、子の2人です。
相続財産は、土地相続税評価3,000万円、預貯金1,000万円の合計4,000万円です。
夫は妻に土地3000万円、子に預金1000万円相続させると遺言してありました。
妻と子の法定相続分は各1/2、遺留分は各1/2×1/2=1/4=1,000万円です。
の表のような遺言があれば遺留分を侵害することもありませんので、妻はすっかり安心していました。
ところが、相続が開始し遺言通りに遺産分割が行われましたが、子供から遺留分侵害請求がありました。
妻は、遺留分を侵害していないのに「なぜ?」との思いです。
子の主張は、「土地の相続税評価3,000万円でなく時価6,000万円なので、遺留分は(B)のように1,750万円となるので750万円支払ってほしい。」
という主張です。
子の遺留分=7,000万円÷法定相続分1/2÷1/2=1,750万円
確かに遺留分を計算する際の土地の評価は相続税評価ではなく時価になります。
妻は子に750万円の支払いをしなくてはなりません。
遺言を作成する段階で、土地の時価を調べ検討する必要がありました。