上原note
2025.09.10

契約者貸付がある場合の生命保険金と相続税

【ご相談】

夫が亡くなり、夫が加入していた契約の死亡保険金を私が受け取りました。
しかし、夫は生前、保険会社から契約者貸付を受けていたようで、私が受け取った死亡保険金から夫の借入金(契約者貸付金)が相殺されて支払われました。
このような場合、夫が受けていた借入金(契約者貸付金)は相続税の債務控除の対象となるのでしょうか。

【契約内容】

契約者(保険料負担者):夫
被保険者:夫
死亡保険金受取人:私=妻
保険金1000万円
契約者貸付金600万円

支払われた保険金1000万円-600万円=400万円

【お答え】

死亡保険金から相殺された借入金(契約者貸付金)は、相続税の債務控除の対象にはなりません。

1.契約者貸付制度

保険契約者は、その保険契約の解約返戻金の一定範囲内で保険会社から貸付を受けられるという制度があります。
これを「契約者貸付制度」といいます。
保険会社や保険種類等により制度の対象となるか否かが異なり、限度額や利率等の条件も契約によって違いがあります。

また、保険契約の失効を防ぐために保険会社が保険料を自動的に契約者に貸し付け、払込に充当することがあります。
これを「保険料の自動振替貸付」といいます。

この契約者貸付には、保険会社ごとに定められた所定の利息を支払う必要があります。
このような契約者貸付がある状態で保険金の支払事由が発生すると、保険約款により保険金から控除されます。

2.契約者貸付金と死亡保険金の取扱い

今回のように相殺された借入金(契約者貸付金)は、相続税の債務控除の対象にはなりません。
他方、相殺された死亡保険金部分も、相続税の「みなし相続財産」とはなりません。

3.奥様は、相殺された後の死亡保険金(=受け取った保険金額)が「みなし相続財産」となります。

生命保険金1000万円-契約者貸付金600万円=みなし相続財産400万円


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