上原note
2022.07.27
決算賞与の損金性
決算時期に従業員に対して賞与を支給することがあります
いわゆる「決算賞与」ですが、損金算入できるためには慎重な取り扱いが必要です。
2022年3月31日決算の会社が決算賞与を支給する場合を想定してみましょう。
法人税法では以下のように定められています。
次に掲げる要件の全てを満たす賞与については使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度に損金算入できる
イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
ロ イの通知をした金額を当該通知をした全ての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から一月以内に支払っていること。
ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
ロ イの通知をした金額を当該通知をした全ての使用人に対し当該通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から一月以内に支払っていること。
ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
したがって、上記の決算賞与は2022年3月31日までに使用人全員に支給額を各人別に通知して、一ケ月以内の2022年4月30日までに支払った場合に限って、2022年3月期の事業年度の損金に算入することが可能です。
ところで、支給日現在の在籍者に対して支給する旨の定めのある会社があります。
この場合には上記要件にあたらないとされているため、退職者以外に対する決算賞与も含め、当該事業年度の損金算入はできません。
この例でいえば2022年3月期の決算では損金算入はできないことになります。
あくまでも全員に支給することが前提となっています。