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相続税にかかる延滞税の計算方法・対処法

相続税の申告期限は、同時に納付期限でもあります。
もしも期限までに相続税を納付しなかった場合には、遅れた日数に対して延滞税という利息がかかってしまいます。

今回は、相続税の延滞税についてご紹介します。

1.相続税にかかる延滞税とは?

延滞税とは、相続税を期限までに納めなかった場合に対してかかる税金で、利息の意味があります。

きちんと期限を守って納めた人、期限を過ぎて納めた人が、納めるべき相続税だけで済むというのは不公平であるため、遅れた期間に対しては利息をかけることで課税の公平が図られます。
延滞税は次のような場合にかかります。

1-1.納付期限内に相続税を納めていない場合

相続税の申告と納税は、相続開始の日(死亡日)の翌日から10ヶ月以内に行わなくてはなりません。

例えば、被相続人が2月15日に死亡した場合には、その翌日から10ヶ月後の12月15日が期限になりますので、12月15日までに相続税を納めなかった場合には、12月16日から納付した日までの期間に対して延滞税がかかります。

1-2.納付期限後に自主的に修正申告書を提出した場合

期限までに申告と納税を済ませた後に誤りを見つけ、自主的に修正申告をした場合には、追加分の相続税に対して延滞税がかかります。追加分の相続税も、本来は期限までに納めておくべき税額だからです。

ただし、自主的に修正申告を行った場合には過少申告加算税はかかりません。
過少申告加算税については、「5.延滞税の他にかかるペナルティとしての税金」で詳しくご紹介します。

1-3.税務調査で追加の相続税納付が必要となった場合

税務調査が入り、申告財産漏れなどが発覚したことで追加の相続税を納めることになった場合には、1-2.と同様、その追加分の相続税には延滞税がかかります
また、税務署に指摘された後の修正申告では、過少申告加算税もかかってしまいます。

1-4.債務控除について

相続税の計算には債務控除があり、被相続人の債務については相続財産から差し引くことができます。

被相続人の責任により発生した延滞税については債務控除の対象になりますが、相続人の責任により発生した延滞税については対象外となります。
例えば、被相続人の相続税にかかる延滞税については、相続人が期限までに納付しなかったことが発生原因ですので、債務控除に含めることはできません。

2. 相続税にかかる延滞税の税率

延滞税の税率は2段階で設定されており、2022年1月1日から12月31日までまでの期間における税率は次の通りです。

延滞税の税率は、特例と原則があり、いずれか安いほうの税率が適用されまるため、特例の税率を使用して計算します。

延滞期間が2ヶ月を超えた場合には、途端に税率が3倍以上に跳ね上がります。やむを得ず延滞する場合でも、2ヶ月を目安にした方が良いでしょう。

特例 原則
延滞期間2ヶ月以内 年2.4% 年7.3%
延滞期間2ヶ月を超えた場合 年8.7% 年14.6%

例えば、期限が2月28日で5月20日に納付した場合の延滞期間は81日になります。
最初の2ヶ月間である61日(3月は31日、4月は30日)に対しては年2.4%の税率、その後の20日(5月1日~20日)に対しては年8.7%の税率で延滞税が計算されます。

3.相続税にかかる延滞税の計算方法

それでは、延滞税の金額を具体的に計算してみましょう。
延滞税は次の算式で計算します。

延滞税の算式

相続税額(※)× 税率 × 延滞日数 ÷ 365日

※延滞税の対象になる相続税は、延滞した税額部分です。
期限内に納税した後、修正申告などで追徴が発生した場合には、追加分の相続税額に対してかかります。

事例

  • 延滞相続税額:500万円
  • 延滞期間:3月1日から5月20日(81日間)
2ヶ月以内の部分(61日) 5,000,000円×2.4%×61日÷365日 20,054円
2ヶ月超の部分(20日) 5,000,000円×8.7%×20日÷365日 23,835円
合計 43,800円(100円未満切り捨て)

500万円の相続税を81日間延滞した場合の延滞税は、わずか3ヶ月弱の延滞期間で43,800円にもなります。
延滞税は延滞期間に応じてかかります。税額が大きくなりやすい相続税では特に注意が必要です。

3-1.延滞税の切り捨てについて

上表からお分かりの通り、延滞税は100円未満を切り捨てて納付します。

また、相続税の額に10,000円未満の端数がある場合や相続税の額が10,000円未満の場合には、その端数または全額を切り捨てて計算することが可能となります。したがって、相続税の額が10,000円未満の場合には、延滞税がかかりません。

さらに、計算後、延滞税が1,000円未満の場合には、全額を切り捨てることができるため、納付する必要がありません。

相続税 10,000未満を切り捨て
延滞税 100円未満を切り捨て
1,000円未満の場合は、全額切り捨て

4.相続税についての延滞税が発生しそうな場合の対処法

相続税の延滞に繋がりそうなケース別に対処法をご紹介します。

4-1.遺産分割が納付期限までに終らなそうな場合

相続税の計算は、各相続人が取得した相続財産額がベースとなりますので、遺産分割が終わらないと計算も進まず、申告書の作成ができません。
しかしそのまま期限を過ぎてしまうと、もちろん延滞税が発生してしまいますので、このような場合には、一旦、期限内に法定相続分で遺産分割をしたとした場合の申告をして納税まで済ませます。

そして遺産分割が完了したら更正の請求を行い、納め過ぎた相続税の還付を受けます。
ここでのポイントは、更正の請求にするということです。修正申告だと追加分の相続税に延滞税がかかってしまいますので、期限内申告を行う際には多めの相続税を納めておいた方が良いかと思います。

4-2.納付期限までに申告しないと特例の適用外となる

相続税を軽減する効果がある特例の中には、期限内の申告が条件となっているものがあり、代表的なもので、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」が挙げられます。

2ヶ月なら遅れても大した延滞税にはならないからと、期限までに申告をしなかった場合にはこれらの特例の適用ができなくなります

小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】土地の相続税対策に欠かせない小規模宅地等の特例とは?

【関連記事】相続税における配偶者の税額軽減|基本から注意点までをご紹介

4-3.やむを得ない事情がある場合

相続税を延滞することについてやむを得ない事情があると認められる場合には、延滞税が免除されます。

ただしやむを得ない事情とは、大地震や洪水などの天災にあった場合など特別な事情であり、遺産分割が完了しなかった、相続争いとなり裁判になった、相続税申告は必要ないと思っていた、被相続人の死後は多忙だったなどという個人的な理由では免除は認められません。

5.延滞税の他にかかるペナルティとしての税金

相続税の延滞税が発生する事態となった場合には、延滞税に合わせて次のいずれかの罰金税がかかります。

・無申告加算税

相続税申告を行う必要があったにも関わらず、申告していなかった場合にかかる税金です。

・過少申告加算税

相続税申告は行っていたが、その税額が本来より少なかった場合にかかる税金です。

・重加算税

相続財産を隠していたなど悪質な脱税行為があった場合には、無申告加算税または過少申告加算税に代えて、より税率の重い罰金として重加算税がかかります。

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