目次
事業復活支援金の申請は終了済みです。
中小企業だと最大250万円の事業復活支援金。
売上高50%以上減少のときと、売上高30%以上50%未満減少のときで、上限が異なります。場合によっては、売上高50%減少の月よりも30%減少の月を選んだほうが有利なこともあります。また、特定の月だけ売上高が多い場合に利用できる「季節性収入特例」もあります。
いろいろなパターンをご紹介しながら計算方法を解説します。
1.事業復活支援金の概要
1-1.売上高の要件
事業復活支援金の支給対象になる売上高の減少の要件は次のようになります。
2021年11月から2022年3月のうち、どの月の売上を、何年前の同じ月と比較するかは任意に決めることができます。
1-2.給付額の計算方法と上限額
事業復活支援金の支給対象となった事業者は、次の式で求めた金額の給付を受けることができます。
※1 基準期間は「2018年11月~2019年3月」、「2019年11月~2020年3月」、「2020年11月~2021年3月」のいずれかの期間(対象月を判断するため、売上高の比較に用いた月(基準月)を含む期間であること)
※2 2021年11月~2022年3月のいずれかの月(基準期間の同月と比較して売上が50%以上または30%以上50%未満減少した月であること)
ただし、給付額には上限が設定されています。中小企業については、比較に用いた基準月を含む事業年度の年間売上高によって上限額が異なります。
<給付の上限額>
売上減少率 | 個人事業者 | 法人 年間売上高 | ||
---|---|---|---|---|
1億円以下 | 1億円超~5億円未満 | 5億円超 | ||
50%以上 | 50万円 | 100万円 | 150万円 | 250万円 |
30%以上50%未満 | 30万円 | 60万円 | 90万円 | 150万円 |
2.事業復活支援金の給付額の計算例(法人)
ここでは、法人(中小企業)向けに、給付額の計算例をパターン別に紹介いたします。いずれのパターンでも2019年11月~2020年3月の売上高と比較することにします。
なお、次のような条件で計算を行います。
- 決算月:12月
- 2019年度売上:3,000万円
- 2020年度売上:2,500万円
2-1.パターン1:売上高が50%以上減少しているケース
基準月を2020年1月、対象月を2022年1月とした場合
2019年 | 2020年 | 合計 | |||
---|---|---|---|---|---|
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
300万円 | 150万円 | 200万円 | 100万円 | 250万円 | 1000万円 |
2021年 | 2022年 | 合計 | |||
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
120万円 | 150万円 | 100万円 | - | - | - |
基準月(2020年1月)と対象月(2022年1月)とを比較して、30%以上減少しているか確認します。ここでは、50%減少していますので、事業復活支援金の給付対象になります。
2020年度の年間売上高は2,500万円ですので、給付の上限額は100万円(減少率50%以上、年間売上高1億円以下)になります。
給付額の計算は、次のようになります。
算出した金額は給付上限額を超えているため、給付上限額の100万円が給付額になります。
2-2.パターン2:売上高が30%以上50%未満減少しているケース
対象月が複数あるケースです。
2019年 | 2020年 | 合計 | |||
---|---|---|---|---|---|
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
300万円 | 150万円 | 200万円 | 100万円 | 250万円 | 1000万円 |
2021年 | 2022年 | 合計 | |||
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
195万円 | 150万円 | 140万円 | - | - | - |
上記の場合、2021年11月を対象月とすると35%減少、2022年1月を対象月にすると30%減少しており、どちらの月も要件を満たすことになります。この場合は、どちらの月を対象月にした方がよいか判定する必要があります。
2019年度の年間売上高は3,000万円、2020年度の年間売上高は2,500万円ですので、どちらが基準月になったとしても、給付の上限額は60万円(減少率30%以上50%未満、年間売上高1億円以下)になります。
2021年11月を対象月にした場合
給付の上限額60万円に満たないため給付額は20万円。
2022年1月を対象月にした場合
給付の上限額を超えているため、給付額は上限の60万円。
売上高が30%以上減少している月が複数ある場合は、売上の少ない月を対象月にした方が有利になります。
2-3.パターン3:売上高が50%以上減少しても給付額が0円になるケース、季節性収入特例を利用するケース
基準月を2019年11月、対象月を2021年11月とした場合
2019年 | 2020年 | 合計 | |||
---|---|---|---|---|---|
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
500万円 | 150万円 | 200万円 | 100万円 | 250万円 | 1200万円 |
2021年 | 2022年 | 合計 | |||
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
250万円 | 150万円 | 150万円 | - | - | - |
基準月(2019年11月)と対象月(2021年11月)とを比較して、30%以上減少しているか確認します。ここでは、50%減少していますので、事業復活支援金の給付対象になります。
2019年度の年間売上高は3,000万円ですので、給付の上限額は100万円(減少率50%以上、年間売上高1億円以下)になります。
給付額の計算は、次のようになります。
算出した金額はマイナスになったため、給付額は0円になります。
売上高が50%以上減少していても、その対象月の売上高が他の月と比較して高い場合には、0円となることもあります。
季節性収入特例
ただし、この場合、月当たりの事業収入の変動が大きい事業者向けの「季節性収入特例」を利用する方法もあります。
季節性収入特例では、連続する3ヶ月間の売上高で売上減少の要件を判定し、給付額は次のように計算します。
上記の例に適用してみます。
基準期間のうち連続する3ヶ月間を2019年11月~2020年1月とすると、3ヶ月間の合計は、500+150+200=850万円です。
今期のうち連続する3ヶ月間は2021年11月~2022年1月であり、3ヶ月間の合計は、250+150+150=550万円です。
850万円に対して550万円では、売上高が30%以上50%未満減少していますので、事業復活支援金の給付対象になり、給付の上限額は60万円(減少率30%以上50%未満、年間売上高1億円以下)になります。
給付の上限額を超えているため、給付額は上限の60万円になります。
2-4.パターン4:売上高が50%以上減少の月よりも、30%以上50%未満減少の月のほうが良いケース
売上高が50%以上減少の月を対象月とするよりも、30%以上50%未満減少の月を対象月としたほうが良いケースです。
2019年 | 2020年 | 合計 | |||
---|---|---|---|---|---|
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
400万円 | 150万円 | 200万円 | 100万円 | 200万円 | 1050万円 |
2021年 | 2022年 | 合計 | |||
11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
200万円 | 150万円 | 140万円 | - | - | - |
上記の場合、2021年11月を対象月とすると50%減少、2022年1月を対象月にすると30%減少しており、どちらの月も要件を満たすことになります。売上高が50%減少しているほうが上限額は高くなりますが、必ずしも、50%以上減少の月を対象月にしたほうが良いとは限りません。
2019年度の年間売上高は3,000万円、2020年度の年間売上高は2,500万円ですので、どちらが基準月になったとしても、給付の上限額は60万円(減少率30%以上50%未満、年間売上高1億円以下)になります。
2021年11月を対象月にした場合
2019年度の年間売上高は3,000万円ですので、給付の上限額は100万円(減少率50%以上、年間売上高1億円以下)になります。
しかし、給付の上限額100万円に満たないため給付額は50万円。
2022年1月を対象月にした場合
2020年度の年間売上高は2,500万円ですので、給付の上限額は60万円(減少率30%以上50%未満、年間売上高1億円以下)になります。
給付の上限額を超えているため、給付額は上限の60万円。
結果的に、売上高が50%以上減少の月を対象月とするよりも、30%以上50%未満減少の月を対象月としたほうが有利なこともあります。
まとめ
法人(中小企業)向けに、事業復活支援金の給付額の計算方法をパターン別に紹介しました。
基準期間と対象月の選び方によっては、上限の給付額を受給できないケースもあり、慎重に選ぶ必要があります。