公開日:2021.08.19

キャッシュフロー計算書の見方を初心者向けにわかりやすく解説

キャッシュフロー

事業経営をするうえで、あるいは、融資を受けるうえで、必須となる書類が決算書です。自社の経営状況を表す決算書ですが、初心者の方は、まずは見方を正しく理解する必要があります。

本サイトでは、初心者向けの決算書の見方として、下記の内容を掲載しています

今回は「③キャッシュフロー計算書の見方」を解説します。こちらをお読みいただくと、お金(キャッシュ)の重要性と、計算書の見方が理解できるようになります。

1.キャッシュフロー計算書とは?

企業が生き残るためには何が一番大事でしょうか?企業の目的は「利益を追求すること」であるため、企業にとって利益はもちろん重要です。しかし、利益と同じくらい大事なものがあります。それは「お金」です。

キャッシュフロー計算書とは、その名の通り「お金(キャッシュ)の流れ(フロー)」を表す計算書です。キャッシュフロー計算書を分析することで、一事業年度や四半期などの一定期間のお金の流れを営業活動、投資活動、財務活動に区分し、最終的にいくらお金が増減したかを一目で把握することが可能です。他の決算書である財産の内容を表す貸借対照表や利益を表す損益計算書では分析できないお金の流れを表す大事な計算書になります。

1-1.なぜキャッシュフロー計算書が必要なのか?

キャッシュフロー計算書が必要な理由は、「利益=お金」ではないからです。会計は発生主義によって行われるため、現金の出金・入金に関わらず取引の有無によって経費や利益が計上されます。これにより「利益とお金のズレ」が発生してしまうのです。

利益とお金のズレが発生する代表的なものに売掛金があります。商品を売却したが入金は1か月後の場合はどうでしょうか。商品を売却した時点で取引が発生しているため、売上という収入が発生します。しかし、収入が発生しているのにも関わらずお金が手元にない状態が利益とお金のズレを生み出します。
経費についても同様に商品を掛けで仕入れ、代金の支払いが1か月後の場合は、仕入という経費が発生しているが代金は支払っていないので現金が減っていない状態になります。

こういった利益とお金のズレを一目で分かるようにした帳票がキャッシュフロー計算書です。キャッシュフロー計算書を理解しておかなければ、損益計算書で利益が出ていても資金繰りが悪化して倒産してしまう「黒字倒産」を引き起こしてしまうかもしれません。

1-2.キャッシュフロー計算書は中小企業には作成義務がない

キャッシュフロー計算書は、中小企業等を含めた会社法における全ての会社に作成が義務付けられているわけではありません。作成が義務付けられているのは、金融商品取引法が適用される上場企業などです。

しかし、お金の流れを把握することができるキャッシュフロー計算書は企業が存続していくうえで大切です。作成義務がなくても作成することをおすすめします。正式なキャッシュフロー計算書でなくても資金繰り表などの簡易な帳票を作成してみてはいかがでしょうか。

2.キャッシュフロー計算書の見方のポイント

キャッシュフロー計算書は、

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

の3つに区分されます。この3つのキャッシュフローを分析することで、企業のどの部分でお金を生み出しているのか、また、どの部分でお金を失っているのかが分かり、財務改善の大切な指標となります。

キャッシュフロー

2-1.営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは「本業で得たお金・失ったお金」が記載されます。本業での売上や仕入、店舗やオフィスの家賃など、本業で得た収入と本業を行う上で必要な経費が全て営業キャッシュフローに含まれます。

キャッシュフロー計算書を見る上で、営業活動によるキャッシュフローが継続的にプラスになっていることが最も重要なポイントです。

営業活動によるキャッシュフローが継続的にプラスになっている場合は、本業から得たお金を他のことに使うことができます。新たな設備投資に資金を投資し、本業の事業規模を大きくすることで企業がどんどん成長していきます。また、借入金を返済して身軽な企業にすることも可能です。

反対に、営業活動によるキャッシュフローがプラスになっていない場合は、本業でお金がプラスになっていない為、設備投資を行う資金を捻出することができません。
また、運転資金も厳しくなるため、金融機関からの借入が必要になります。借りたお金の返済は本業で得たお金で行わなければなりませんので、やはり営業活動によるキャッシュフローが継続してプラスであることは企業が存続していくために必ず必要な要件です。

2-2.投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローには、お金を運用した場合または資産運用により得たお金、新たに設備を購入した場合に支出したお金の増減が記載されます。投資活動によるキャッシュフローはプラスになっていれば良いというわけではありません。成長している企業では、継続的に設備投資や資産運用を行っているため投資活動によるキャッシュフローはマイナスになることがほとんどです。

営業活動により得た潤沢な資金を投資活動に回していると考えると、営業活動によるキャッシュフローがプラスで投資活動によるキャッシュフローがマイナスになっている企業は、健全な企業と言えるでしょう。

2-3.財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローは、企業の資金調達に関する項目です。具体的には金融機関からの借入と返済、配当金の支払いによる現金の流れが記載されます。財務活動によるキャッシュフローは一概にプラスになった方が良いというわけでもなく、マイナスになった方が良いというわけでもありません。

財務活動によるキャッシュフローがプラスになる場合は、新たに借入を行った時です。新たに借入を行う場合、設備投資のための借入または事業の運転資金のための借入に分かれます。設備投資のための借入であればポジティブな要因になり、運転資金が足りないための借入であればネガティブな要因となります。

投資活動によるキャッシュフローが大きくマイナスになっていれば設備投資のための借入、営業活動によるキャッシュフローのプラスが十分でない場合やマイナスになっている場合であれば、運転資金のための借入に該当する可能性が高いと言えます。財務活動によるキャッシュフローの分析は、他の項目を見て総合的に判断する必要があります。

3.キャッシュフロー計算書のパターンで会社の状況が分かる

営業活動によるキャッシュフロー(営業活動CF)、投資活動によるキャッシュフロー(投資活動CF)、財務活動(財務活動CF)によるキャッシュフローの3つについて「プラスかマイナスか」を分析するだけで会社の大まかな状態を知ることができます。

①安定企業

  • 営業活動CF プラス
  • 投資活動CF マイナス
  • 財務活動CF マイナス

本業の営業活動で得た潤沢なお金を設備投資や借入金の返済に充てている企業です。大きな借入を伴う設備投資を行う段階を既に終え、安定している企業だと言えます。

②成長企業

  • 営業活動CF プラス
  • 投資活動CF マイナス
  • 財務活動CF プラス

本業の営業活動で得たお金にプラスして借入で得たお金を設備投資に充てている企業です。借入による積極的な設備投資を行うことで事業規模を拡大している状況です。成長真っただ中の企業と言えるでしょう。

③事業縮小企業

  • 営業活動CF プラス
  • 投資活動CF プラス
  • 財務活動CF マイナス

本業で得たお金と保有している資産を売却したお金を借入金の返済に充てている企業です。新たな設備投資が行われていないため成長が止まり、事業を縮小している企業だと言えるでしょう。

④ベンチャー・スタートアップ企業

  • 営業活動CF マイナス
  • 投資活動CF マイナス
  • 財務活動CF プラス

革新的なアイデアや技術を持っているが、まだ本業の利益に結びついていない企業です。投資会社などから将来性を見込まれ資金調達を成功させているため財務活動CFがプラスになり、その資金を積極的に設備投資に回しているベンチャーやスタートアップ企業が該当します。

⑤倒産の危険がある企業

  • 営業活動CF マイナス
  • 投資活動CF プラス
  • 財務活動CF プラス

本業のマイナスを設備の売却や借入金で賄っている企業です。本業の業績が回復せず、この状態が続くと倒産してしまいます。

4.貸借対照表・損益計算書との関係

キャッシュフロー計算書は、他の決算書である貸借対照表・損益計算書に修正を加えていくことで作成します。発生主義により作成されている貸借対照表・損益計算書を現金主義に変換するイメージです。

実際の現金が伴わない売掛金や買掛金、棚卸資産の増減、減価償却費を調整していくことでキャッシュフロー計算書ができあがります。貸借対照表・損益計算書からキャッシュフロー計算書を作成するには会計の知識が必要になり、キャッシュフロー計算書作成は日商簿記検定にも出題されるほどです。

まとめ

今回は「キャッシュフロー計算書の見方」についてご紹介しました。キャッシュフロー計算書は中小企業等に作成義務がないため、あまり馴染みのない帳票ではないでしょうか。

しかし、お金の流れを把握することは企業が存続していくうえで大変重要です。損益だけにとらわれない経営を行うためにも、一度自社のキャッシュフロー計算書を作成し、お金の流れをチェックしてみてはいかがでしょうか。

作成方法がわからない場合には、当会計事務所でアドバイスすることも可能ですので、お気軽にご相談ください。

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