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より働きやすい労働環境を実現するために、政府は「働き方改革」を推進しています。労働環境の改善は、労働者の長時間労働を抑制し、生産効率の向上を実現させ、労働者と企業にとって大きなメリットになります。
しかし、労働環境の改善には相応の時間と費用が必要になります。雇用や労働を管理する厚生労働省では、企業が労働環境の改善を推し進めていけるように、様々な助成金を用意しています。
1.働き方改革推進支援助成金-助成金の対象が幅広い
働き方改革推進支援助成金は「中小企業等の労働環境の改善」に焦点を当てた助成金です。専門家によるコンサルティング費用やテレワーク機器の導入費用などについても助成金の対象となるため、中小企業等が利用しやすい助成金であることが特徴です。
※どのコースも、支給上限額に賃金引上げを成果目標に加えることができます。(最大240万円加算)
1-1.労働時間短縮・年休促進支援コース
労働時間短縮・年休促進支援コースは労働時間の見直しに関連した助成金です。36協定で時間外労働や休日出勤の縮小、年次有給休暇や時間単位の年次有給休暇を新たに規定するなどの「成果目標」を達成することで、取り組みにかかった費用の3/4が助成されます。
成果目標は1から4まで設定されており、達成状況に応じて、それぞれ25万円から150万円が支給上限になります。
1-2.勤務間インターバル導入コース
勤務間インターバル導入コースは、勤務終了後から次の勤務開始までに一定時間以上を規定する「勤務間インターバル」を支援する助成金です。補助率は、取り組みにかかった費用の3/4です。
インターバルの時間が9時間以上11時間未満の場合は最大80万円
11時間以上の場合は最大100万円※既に勤務間インターバルを導入しており、労働者の範囲の拡大やインターバル時間の延長を行った場合の支給上限額は、上記の金額の50%になります。
1-3.労働時間適正管理推進コース
労働時間適正管理推進コースは、労務管理体制を向上するためのシステム導入を支援する助成金です。勤怠管理と賃金計算等をリンクさせる統合管理ITシステムを導入し、労務管理書類等の5年間保存を定めることで助成することができます。補助率は、取り組みにかかった費用の3/4です。
最大100万円
2.キャリアアップ助成金-非正規労働者の労働環境改善
2-1.正社員化コース
正社員化コースでは、契約社員などの働く期間が定められている有期雇用労働者を正社員にしたり、有期雇用労働者が5年を超えて働き、無期転換を行った無期雇用労働者を正社員にしたりした場合に助成されます。
有期労働者⇒正規雇用労働者 1人あたり57万円
無期労働者⇒正規雇用労働者 1人あたり28万5,000円
2-2.選択的適用拡大導入時処遇改善コース
選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、社会保険の適用を拡大させ、有期雇用労働者などを新たに社会保険適用にする場合に支給される助成金です。
1事業所あたり19万円
※社会保険に加入したため手取りが少なくなる対策として基本給を増額した場合には、増額率に応じて1人あたり1万9,000円から13万2,000円加算されます。
2-3.短時間労働者労働時間延長コース
アルバイトやパートなどの有期雇用労働者の週所定労働時間を延ばし、新たに社会保険に加入することで支給される助成金です。
・週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険に加入した場合 1人あたり22万5,000円
・週所定労働時間を1時間以上2時間未満延長し、社会保険に加入し、さらに基本給を増額(10%以上)した場合 1人あたり5万5,000円
・週所定労働時間を2時間以上3時間未満延長し、社会保険に加入し、さらに基本給を増額(6%以上)した場合 1人あたり11万円
3.両立支援等助成金-職場と家庭の両立を支援
3-1.出生時両立支援コース
男性社員が「子育てに参加しやすい職場環境」の促進を目的とした助成金です。男性社員が育児休業を取得した場合や会社の育児休業取得率が上昇した場合に助成されます。
・男性社員が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得した場合 20万円
・上記の支給を受け、下記の期間以内に育児休業取得率が30%以上上昇した場合
1年以内:60万円
2年以内:40万円
3年以内:20万円
3-2.介護離職防止支援コース
仕事と介護の両立を支援する助成金です。
介護支援プランをもとに合計5日以上の介護休業を取得する場合 28万5,000円
介護休業を取得した社員が現職に復帰させ、3か月以上継続雇用する場合 28万5,000円
対象労働者が20日以上介護両立支援制度を利用し、かつ継続雇用する場合 28万5,000円
3-3.育児休業等支援コース
育児休業の取得と現場復帰を支援する助成金です。
新規雇用 47万5,000円
手当支給等 10万円
職場復帰時 28万5,000円
3-4.不妊治療両立支援コース
不妊治療と仕事の両立を支援する助成金です。
環境整備、休暇の取得等 28万5,000円
上記を受給し、さらに不妊治療休暇を20日以上連続して取得した場合 28万5,000円
4.人材確保等支援助成金-人材の確保・定着
4-1.テレワークコース
新たにテレワーク勤務を導入する、または試験的に導入している場合に支給される助成金です。
機器等導入助成 経費の30%
目標達成助成 経費の20%
(どちらの助成も支給上限額は100万円、またはテレワーク対象者×20万円の低い方)
5.65歳超雇用推進助成金-高年齢者雇用
5-1.65歳超継続雇用促進コース
65歳以上へ定年引上げを行う場合の助成金です。
定年の年齢や対象人数によって15万円から160万円
5-2.高年齢者無期雇用転換コース
50歳以上の有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換する場合に助成されます。
48万円
6.産業保健活動助成金-労働者の健康管理
6-1.「ストレスチェック」実施促進のための助成金
労働者のストレスチェックを実施し、医師による指導等が行われる場合に支給される助成金です。
ストレスチェック実施費用 1人あたり500円
医師の活動費用 1回あたり21,500円
6-2.心の健康づくり計画助成金
労働者のメンタルヘルス対策を実施する場合に支給される助成金です。労働者数が50人未満の場合は、ストレスチェックも助成対象になります。
10万円
6-3.職場環境改善計画助成金(事業場コース)
ストレスチェック後に改善計画を作成し、改善計画を実施した場合に支給される助成金です。
10万円
6-4.治療と仕事の両立支援助成金(環境整備コース)
治療と仕事を両立させるために両立支援コーディネーターを配置し、両立支援制度を導入する場合に支給される助成金です。
20万円
6-5.治療と仕事の両立支援助成金(制度活用コース)
治療と仕事の両立支援が必要な労働者に、両立支援制度をもとにした両立支援プランを3か月以上適用し、6か月以上雇用が継続されている場合に支給される助成金です。
20万円
まとめ
長時間労働の削減や、新たな雇用など、働き方改革をするともらえる助成金・補助金を紹介しました。
ただ、助成金の種類が非常に多く、どれが自社に適しているか迷うかもしれません。