上原note
2022.08.18
役員退職金規定の必要性
会社によっては役員退職金規定がない場合もあります
役員退職金規定がない場合に支払われた退職金は損金に算入できるのでしょうか?
会社法(取締役の報酬等)第三百六十一条では次のように定めています。
「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益については、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。」
法人税法では「役員に対する退職給与の損金算入の時期」として基本通達9-2-28で
「退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。以下省略」
としています
したがって、定款に定めがない場合には株主総会決議等を要することとされ、株主総会決議のある場合には、役員退職金規定の有無にかかわらず損金の額に算入することができます。(過大役員退職金等を除く)
では、役員退職金規定は不要でしょうか?
そのメリット・デメリットを考えてみますと・・・
メリット
- 役員退職金規定があることで会社と役員の争いのリスクを回避できる
- 国税当局に対して支給金額の妥当性を明示しやすくなる
デメリット
- 役員退職金規定通りに支払わなかった場合には、その不支給につき当該役員から損害賠償請求の可能性があり、場合によると代表取締役個人に対して責任追及がなされることがある