資金繰りが不安定な時の対策
「黒字なのに現金が足りない」「支払日が近づくたびに不安になる」
これは多くの中小企業が抱える悩みです。
利益が出ていても、手元資金が枯渇すれば事業は止まります。
資金繰りを安定させるために必要なのは、“見える化”と“先読み”の仕組みです。
現状の課題発見
最初に取り組むべきは、週次の資金繰り表の作成です。
売上入金・仕入支払・給与・借入返済・税金など、主要な入出金を3か月先まで一覧化しましょう。
これにより「いつ・いくら不足するか」が早期に把握でき、行動を前倒しできます。
弊社でご提供しているワークシートでは決算時の資金繰り予測値を毎月ご報告しています。
例えば2025/9月の段階で決算期2026/3月の資金繰り予測を行うという仕組みです。
これにより、早期の対策が可能となっています。
改善の考え方
次に、売掛金の回収強化を徹底します。
回収予定日を一覧化し、入金遅延が発生した場合は即座に対応します。
支払サイトの短縮や前金の交渉も検討対象です。
これだけで資金繰りが大きく改善するケースも多くあります。
一方で、支出の最適化も欠かせません。
固定費の中でも特に大きな比率を占める人件費・家賃・通信費・保険料などは、毎年「見直し月」を決めてチェックしましょう。
5〜10%のコスト削減でも、年間では大きなキャッシュ効果を生みます。
また、資金が厳しいときほど避けがちなのが金融機関との相談です。
実は「資金が足りなくなってから」ではなく、「足りなくなりそうな段階」で相談することが重要です。
誠実な情報開示と、資金繰り表をベースにした具体的な説明は、金融機関の信頼を高め、条件緩和や追加融資の可能性を広げます。
さらに、近年はクラウド会計や資金繰りアプリを使い、入出金データをリアルタイムで把握する仕組みが一般化しています。
経理担当任せにせず、経営者自身が「数字を日常的に見る習慣」を持つことが、資金繰り不安の最大の防止策です。
資金繰り表は、過去の記録ではなく「未来を読むツール」です。
先を見通せる経営こそが、黒字倒産を防ぎ、強い財務体質を築く第一歩です。
















