目次
オンライン上で資金を集めることができるクラウドファンディングは、新しい資金調達方法として注目を集めています。東京都ではクラウドファンディングを活用した資金調達に助成金制度を設けており、次のような助成を受けることができます。
- クラウドファンディングの利用手数料が最大40万円助成
- 『未来の東京』戦略に寄与する場合は利用手数料が最大50万円助成
- 一部地域では上乗せして助成を受けることができる
ここでは東京都が実施しているクラウドファンディング活用助成金(以下、「東京都CF活用助成金」)についてご紹介します。
1.クラウドファンディング活用助成金(東京都CF活用助成金)とは?
クラウドファンディング活用助成金(東京都CF活用助成金)とは、東京都が創業やソーシャルビジネス、新製品・新サービスの創出に挑戦する方を支援する取り組みの一環として行っている助成金制度です。
東京都CF活用助成金は、クラウドファンディングを行う際に取り扱い事業者に支払う利用手数料が助成の対象になります。年度内1回のみ助成金の利用が可能であり、1回の申請で複数のプロジェクトを申請することはできません。年度内1回の利用が可能なため、昨年度利用された方であっても、新たに今年度申請することができます。
助成金の申請受付期間
年度によって異なりますが、令和3年度の助成金の申請受付期間は、令和3年4月15日(木)0時 ~ 令和4年3月15日(火)24時までとなっています。期間内であっても助成金の交付限度額が上限に達すると助成金の交付申請受付が終了されますので、早めに申請を行いましょう。
助成率と助成限度額
助成率と助成限度額はクラウドファンディング事業の内容によって2つに区分されています。
ア.通常の事業の場合
助成率は対象経費の1/2、助成限度額は40万円
イ.新型コロナウイルス感染症対策特例
助成率は対象経費の2/3、助成限度額は50万円
※新型コロナウイルス感染症対策特例とは、新型コロナウイルス感染症に伴い発生した社会的課題の解決に役立ち、東京都が掲げている『未来の東京』戦略に寄与するソーシャルビジネスを行う場合に該当します。
(助成金の計算例)
クラウドファンディングの利用手数料が84万円であった場合、それぞれ次の金額が助成金となります。ア.75万円×助成率1/2=37万5,000円 37万5,000円<助成限度額40万円 助成金37万5,000円
イ.75万円×助成額2/3=50万円 50万円=助成限度額50万円 助成金50万円
助成対象経費
東京都CF活用助成金の助成対象になる経費は、原則的にクラウドファンディング取扱い事業者に支払う利用手数料になります。利用手数料には次の費用が含まれます。
- ①利用手数料、決済手数料、早期振込手数料(取扱CF事業者から調達資金を受け取るために必要な手数料)
- ②プロジェクトページを作成するための費用(プロジェクトページの文章・画像作成費用など)
- ③プロジェクトの広報活動に対するアドバイスにかかる費用(SNS活用のアドバイス費用など)
2.助成金の申請要件
東京都CF活用助成金を申請するためには様々な要件があり、その全てを満たす必要があります。主な要件は次のとおりです。
- 創業者(※1)、新製品・新サービスの創出に挑戦する者、『未来の東京』戦略に寄与するソーシャルビジネスを行う者(※2)のいずれかであること
※1 創業者とは、現在、事業を営んでおらず、新たに事業を開始しようとする具体的な計画がある者、または、創業した日から5年未満である者が創業者に該当します。
※2 『未来の東京』戦略とは、東京都が2030年に向けて策定した21個の戦略です。「感染症に打ち克つ戦略」や「女性の活躍推進戦略」、「スタートアップ都市・東京戦略」など様々な戦略があり、そのどれかの戦略に寄与できる場合に助成金の申請ができます。この要件で申請する場合は、申し込み時にどのように戦略に寄与できるのかを説明する必要があります。
- 令和3年4月1日以降に、取扱CF事業者のサイトでプロジェクトを掲載し、プロジェクトを成功させた者(令和3年度の場合)
年度開始日以降に開始したプロジェクトであり、プロジェクトで設定した目標調達額に達した場合に助成金の対象となり、申請できるプロジェクトは年度内に1回のみになります。取扱CF事業者は、東京都が指定した事業者に限られます。次章の「取扱CF事業者」をご覧ください。
- 令和4年3月15日までに、全てのリターンを提供し、事務局に完了報告及び支給申請をした者(令和3年度の場合)
期限内までにオンラインで事務局に完了報告及び支給申請を行う必要があります。期限が過ぎると助成金を受給することはできません。その際に、リターンを提供したことが分かる画像などの提出が必要になります。
- 東京都内に主たる事業所があり、東京都内で事業を行う事業者であること
- 中小事業者であること
- 税金の滞納がないこと
など
3.対象サイトと取扱CF事業者
令和3年9月現在で東京都が指定しているCF対象サイトとCF事業者は以下のとおりです。
タイプ | サイト名 | 事業者名 |
---|---|---|
購入型 | Kibidango | きびだんご株式会社 |
購入型 | MOTION GALLERY | 株式会社MotionGallery |
購入型・寄付型 | READYFOR | READYFOR株式会社 |
購入型 | GREEN FUNDING | 株式会社ワンモア |
購入型・寄付型 | A-port | 株式会社朝日新聞社 |
購入型・寄付型 | GoodMorning | 株式会社GoodMorning (共同運営:株式会社CAMPFIRE) |
購入型 | JAPANKURU FUNDING | 株式会社デイリー・インフォメーション (取扱CF事業者:株式会社グローバル・デイリー) |
購入型 | BOOSTER | 株式会社CAMPFIRE (共同運営:株式会社パルコ) |
購入型 | Makuake | 株式会社マクアケ |
購入型 | machi-ya | 株式会社メディアジーン |
購入型 | CAMPFIRE | 株式会社CAMPFIRE |
4.手続きの流れ、申請方法と必要書類
東京都CF活用助成金を申請する場合、通常のCF事業者との手続き以外にCF資金調達支援事務局(銀座セカンドライフ株式会社)に次の手続きが必要になります。
手続き①交付申請
専用のウェブページより交付申請を行います。交付申請を行うタイミングはCF事業者へ利用手数料を支払った後になります。交付申請には次の書類が必要です。
- 利用手数料の金額の証明書類(CF事業者によって書類が異なります)
- 直近の法人税又は所得税の確定申告書(受理印又は電子申告の受信通知のあるページ)
- 身分証明書(創業者:運転免許証又は住民票、法人:登記簿謄本、個人事業者:個人事業の開業・廃業等届出書の写し)
手続き②事務局の審査後、交付決定通知を受け取る(交付申請から2週間ほど)
手続き③リターン完了後に事務局に完了報告及び支給申請を行う
期限内(令和3年度の場合は令和4年3月15日まで)に専用ページで完了報告及び支給申請を行います。その際にリターンが分かる次の資料の添付が必要です。
- 提供した実物の写真
- 提供した様子が分かる写真画像
- リターンを発送したことがわかる取扱CF事業者のサイト管理画面の画像
など
また、助成金の振込先の銀行口座の通帳の写しの添付が必要です。
手続き④助成金の交付
5.東京都CF活用助成金申請の注意点
注意点①完了報告及び支給申請を期限までに行う必要がある
完了報告及び支給申請には期限が設けられています。交付決定後、この期限までにリターンを提供しておかなければなりませんので、時間に余裕を持って計画的に進めなければなりません。
注意点②プロジェクトで設定した目標調達額を達成しないと助成金の対象にならない
All-or-Nothing方式とAll-in方式のどちらでも助成金の対象になりますが、プロジェクトで設定した目標調達額を達成しなければ助成金の対象になりません。
6.一部地域では上乗せして助成を受けることができる
一部地域では東京都CF活用助成金に上乗せして補助を支給している自治体があります。例えば、千代田区では東京都CF活用助成金で賄いきれなかった部分について、補助率1/2、補助金額最大15万円が補助されます。東京都CF活用助成金を申請する場合は、事業を行っている自治体に補助の有無を確認してみるといいでしょう。
まとめ
今回は「東京都クラウドファンディング活用助成金」についてご紹介しました。
この助成金は新たに制定されたものであり、まだまだ情報の少ない助成金です。