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【2022年版】人材育成の研修に使える助成金・補助金一覧

研修 人材育成
【更新情報】
人材開発支援助成金で、2022年9月1日から、制度の見直しが行われました。

人材育成のために、次のような研修を行っている事業主は、助成金・補助金をもらえる可能性があります。

  • 社内での机上研修(OFF-JT)
  • 社内での実施研修(OJT)
  • 社外研修

国や地方自治体が研修にかかる費用の一部を負担してくれますので、非常に助かる制度です。ぜひ、本記事をご覧になって検討されてみてください。

1.人材育成・社員研修に利用できる助成金・補助金

人材育成に関する助成金は、全国の事業主が利用できるものと地方自治体が独自で行うものに区分されます。

1-1.全国の事業主が利用できるもの

人材開発支援助成金

人材開発助成金は、厚生労働省が行う助成金事業で、対象となる全国の事業主が申し込むことが可能です。正社員への職業に関する訓練を行った際に発生した経費の一部を助成する制度であり、訓練の内容によって8つのコースが準備されています。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金も人材開発支援助成金と同様に厚生労働省が行う助成事業です。キャリアアップ助成金の対象になる労働者は、派遣労働者やアルバイト・パートなどの非正規労働者になります。非正規労働者の処遇改善や正規労働者に転換する取り組みについて助成金が交付されます。キャリアアップ助成金には、非正規労働者の雇用形態などにより6つのコースがあります。

人材開発支援助成金とキャリアアップ助成金は、対象となる労働者の正規・非正規という違いがありますが、一部のコースについては併用して申請することが可能です。

1-2.地方自治体が独自で行うもの

(東京都)社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(旧名称:東京都中小企業職業訓練助成金)

東京都が独自で行う人材育成・社員研修に利用できる助成金です。東京都内の中小企業または中小企業の団体が行う職業訓練に対して助成を行います。この助成金の助成限度額は100万円です。

他の自治体の助成金・補助金

東京都と京都府以外の地方自治体でも次のような社員研修についての助成金・補助金があります。会社のある地方自治体へ一度お問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

  • (津市)中小企業振興事業補助金(人材育成支援事業)
  • (和歌山県)高度技術習得支援事業
  • (福井市)中小企業団体人材育成補助金
  • (水戸市)工業振興支援事業補助金(人材確保・育成事業)
  • (川口市)技能検定等受検手数料助成金

2.人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、机上研修(OFF-JT)や実施研修(OJT)の研修費用が助成されます。研修内容や対象になる労働者によって8つのコースに区分されています。その中でも利用しやすい5つのコースを見ていきましょう。

2-1.特定訓練コース

若い労働者(35歳未満)に対する訓練や労働生産性の向上に関する訓練などが対象になり、10時間以上の特定の訓練やOFF-JT とOJTを組み合わせた訓練を受けた場合に助成されるコースです。特定訓練コースの中でも、対象労働者や訓練に応じて4つに区分されています。

労働生産性向上訓練

職業能力開発促進センターや中小企業大学校が実施する訓練など、特定の訓練を行う場合に対象になります。

若年人材育成訓練

雇用して5年を経過していない労働者であり、かつ35歳未満の若年労働者に行う訓練が対象になります。

熟練技能育成・承継訓練

熟練技能を持つ労働者がその技能を伝えるための指導力の強化など、技能承継のための訓練が対象になります。

認定実習併用職業訓練

事前に厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練を実施し、訓練後にジョブ・カードによる職業能力の評価を実施した場合に助成の対象になります。

特定訓練コースの助成率・助成額
研修内容 経費助成 賃金助成(1時間あたり)
OFF-JT 45% 760円
OJT 665円

※OJTは雇用型訓練に限ります。

2-2.一般訓練コース

一般訓練コースは、特定訓練コース以外の研修や訓練にかかるOFF-JTの経費が助成対象になります。対象となる訓練はOFF-JTで訓練時間数が20時間以上のもので、8割以上受講する必要があります。

一般訓練コースの助成率・助成額
研修内容 経費助成 賃金助成(1時間あたり)
OFF-JT 30% 380円

2-3.教育訓練休暇付与コース

教育訓練休暇付与コースとは、事業者が新たに教育訓練休暇制度を導入し、実際に労働者が教育訓練休暇を利用して訓練を行った場合に助成されるコースです。

経費助成額は一律で30万円です。

2-4.特別育成訓練コース

パートやアルバイトなどの有期契約労働者を正社員へ転換、または処遇を改善することを目的として有期契約労働者に訓練を実施した場合に助成されるコースです。このコースは訓練の内容によって、さらに2つに区分されます。

一般職業訓練

Off-JTで期間が1年以内、訓練時間が20時間以上の訓練が対象になります。専門実践教育訓練を活用する職業訓練の場合は、中長期的キャリア形成訓練となります。

有期実習型訓練

正規雇用労働者への転換を目的とし、Off-JTとOJTを組み合わせた訓練が対象になります。訓練期間は2か月以上6か月以下、訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上必要です。

助成金の限度額と助成率

対象の訓練 賃金助成
(1人1時間あたり)
経費助成
20時間以上
100時間未満
100時間以上
200時間未満
200時間以上
一般職業訓練
有期実習型訓練
760円 15万円 30万円 50万円

助成率は、正社員化したかどうかに応じて区分されています。生産性要件を達成している場合は、助成率がプラスされます。

経費助成率 生産性要件達成
正社員化 70% 100%
非正規維持 60% 75%

2-5.人への投資促進コース

2022年4月1日から新設されました。次の7つの訓練に分かれています。

  • 高度デジタル人材訓練
  • 成長分野等人材訓練
  • 情報技術分野認定実習併用職業訓練
  • 定額制訓練
  • 自発的職業能力開発訓練
  • 長期教育訓練休暇制度(教育訓練休暇付与コースから移設)
  • 教育訓練短時間勤務等制度(教育訓練休暇付与コースから移設)

高度デジタル人材訓練

高度デジタル人材(※)の育成のための訓練です。
※ITSS(IT スキル標準)レベル4もしくは 3となる訓練又は大学への入学(情報工学・情報科学)

成長分野等人材訓練

海外を含む大学院での訓練です。

情報技術分野認定実習併用職業訓練

IT分野未経験者の即戦力化のための訓練(OFF-JT, OJT の組み合わせの訓練)です。

定額制訓練

労働者の多様な訓練の選択・実施を可能とする「定額制訓練」(サブスクリプション型の研修サービス) を利用する訓練です。

自発的職業能力開発訓練

労働者が自発的に受講する職業訓練です。

長期教育訓練休暇制度・教育訓練短時間勤務等制度

働きながら訓練を受講するための長期休暇制度や短時間勤務等制度 (所定労働時間の短縮及び所定外労働時間の免除)です。

助成金の限度額と助成率

人への投資促進コースの助成率・助成額
訓練内容 賃金助成(1時間あたり) 経費助成
高度デジタル人材訓練 960円 75%
成長分野等人材訓練 960円 75%
情報技術分野認定実習
併用職業訓練
760円 60%
定額制訓練 45%
自発的職業能力開発訓練 30%
長期教育訓練休暇制度 6000円(1日あたり) 20万円
教育訓練短時間勤務等制度 20万円

 

2-6.活用事例

電気工事業を営むF社が、若年労働者へ第二種電気工事士の資格所得のためのOff-JTによる研修を行った場合(研修受講料等36,000円、研修時間18時間)

【特定訓練コース若年人材育成訓練に該当】

経費助成:研修受講料等36,000円×助成率45%=16,200円
賃金助成:研修時間18時間×助成額760円=13,680円
合計29,880円が助成金として受給することができます。

3.キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金には、目的によって7つのコースが設けられています。

正社員化コース

パートやアルバイトなどの有期雇用労働者等を正規雇用労働者等として転換する場合に助成されるコースです。有期雇用労働者等から正規雇用労働者等へ転換した場合、1人あたり57万円が助成されます。

賃金規定等改定コース

有期雇用労働者等の賃金規定を増額改定して昇給させた場合に助成されるコースです。事業所の規模により助成額は異なりますが、最大で28万5,000円が助成されます。

賃金規定等共通化コース

有期雇用労働者等の賃金規定を正規雇用労働者等と共通の職務に応じた賃金規定を新たに規定した場合に助成されます。助成額は1事業所当たり57万円になります。

賞与・退職金制度導入コース

有期雇用労働者等に関して賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に支給されます。助成額は1事業所当たり最大で48万円です

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

有期雇用労働者等の社会保険加入の是非を見直し、有期雇用労働者等が新たに社会保険の被保険者になった場合に助成されます。

短時間労働者労働時間延長コース

有期雇用労働者等の勤務時間を延長し、有期雇用労働者等が新たに社会保険の被保険者になった場合に助成されます。

4.東京都:社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金

東京都が実施する職業訓練に対する助成金です。以前は東京都中小企業職業訓練助成金でしたが、令和3年度より名称が変更になっています。

対象労働者

助成の対象となる労働者は次の3つの要件を全て満たす必要があります。

  • ①東京都内の中小企業の従業員
  • ②勤務地が東京都内である人
  • ③職業訓練を全体の8割以上受講した人

対象になる職業訓練

助成の対象になる職業訓練の要件は「社内型スキルアップ助成金」と「民間派遣型スキルアップ助成金」によって異なります。

社内型スキルアップ助成金 民間派遣型スキルアップ助成金
申請者 中小企業・団体 中小企業
訓練時間 3時間以上12時間未満 3時間以上20時間未満
訓練場所 東京都内 東京都内
修了者数 2名以上 1名以上
訓練の実施方法 集合型訓練及び同時かつ
双方向のオンライン訓練
集合型訓練

助成額

【社内型スキルアップ助成金】
助成対象受講者数×訓練時間数×730円

【民間派遣型スキルアップ助成率】
助成対象受講者1人1コースあたり受講料等(税抜き)の2分の1(20,000円を上限)

※社内型と民間派遣型を合計して年間100万円が助成金の限度額です。また、助成対象受講者1人あたりの助成対象訓練の時間は、社内型と民間派派遣型を合計して年度内100時間が上限となります。

申請スケジュール

助成金の申請スケジュールは①交付申請の相談・予約、②交付申請書提出、③訓練の実施、④実績報告書の提出、⑤助成金請求書の提出の順番で行います。助成金の交付申請については、第1回から第11回まで1か月単位で設定されており、助成対象期間も決まっています。訓練期間が決まっている場合は、申請期間に気を付けて申請しましょう。

活用事例

情報セキュリティマネジメントコース(受講料50,000円)に従業員2人を受講させた場合

【民間派遣型スキルアップ助成金に該当】

受講料50,000円×助成率1/2=25,000円
1人あたり20,000円が上限のため、助成金は20,000×受講者2人=40,000円
40,000円が東京都より助成されます。

まとめ

今回は「人材育成の研修に使える助成金・補助金」についてご紹介しました。

人材育成に関する助成金には様々な種類がありますが、どの助成金をどのように利用できるのかを検討しなければなりません。

人材育成の研修に使える助成金・補助金に関するFAQ

人材育成の研修に使えるオススメの補助金は?

人材開発支援助成金、キャリアアップ助成金などがあります。

研修費用を負担してくれる助成金は?

人材開発支援助成金です。

※助成金・補助金に関連するご相談・ご質問は、関連する行政、自治体に直接お問い合わせください。
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