所要運転資金の活用
キャッシュフローをよくするにはどうしたらいいか?
その手立ての一つとして所要運転資金の見直しがあげられます。
所要運転資金とは、以下の計算式で求められるものです。
決算日現在の貸借対照表を見れば、これらの数値が載っていますので計算してみてください。
仮に、A社を例にとり、A社の所要運転資金が2400万円としましょう。
さて、この所要運転資金ですが、会社の運営をしていくためになくてはならない資金です。
この資金がなければ、商品の仕入れ、在庫の確保、掛売での商売ができなくなってしまい、経営の継続は困難だからです。
したがって、この資金はいつも会社内に留保していてほしい資金なのです。
金融機関もその点は理解しており、所要運転資金の分まで返済しろとは言ってきません。
一方、A社の会社全体の借入金が9600万円(5年返済、毎月160万円返済)あったとします。
毎月の返済、160万円、年間1920万円の返済でとても大きな数字です。
借入金返済のための原資は、利益ですね。
利益がなければ、手持ち資金から返済せざるを得ず、いつかは資金残高が枯渇してしまいます。
そのため、借入返済のための融資を受け借入本数を増やしているケースが見られます。
借入本数が増加すれば、返済金額は増え、会社経営はますます苦しくなっていきます。
そこで、キャッシュフロー対策として、上記のA社で
- 所要運転資金分は返済枠から除外する
- 長期借入金は返済期間を最長10年を確保する
の二つを実施できないかを検討します。
- 借入金9600万円から所要運転資金分2400万円を返済枠から除外する
- ①の結果生じた長期借入金は返済期間を10年にする
の対策を講じた場合の返済金額を計算すると
- 借入金9600万円-所用運転資金2400万円=長期借入金7200万円
- 長期借入金7200万円/返済期間10年×12か月=毎月の借入金返済60万円
となり、借入金返済額は大幅に減少しました。
毎月160万円の返済 ➡ 毎月60万円の返済
毎月100万円のキャッシュフローが生み出せ資金繰りは大幅に改善されます。
もちろん、現実には、机上の計算だけでなく、現状の分析、金融機関へ納得のいく説明、将来を見据えた経営計画書の提示なども必要になってきます。融資を受けている数行の金融機関との話し合いも必要でしょう。
簡単ではありませんが、トライして損のない話ではあります。
ご相談の向きはお電話いただければと思います。