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相続人となる子どもたちの仲がわるい時にしておくべき対策

仲が良い家族であっても、相続を機に絶縁状態になってしまうケースは珍しくありません。相続人となる子どもたちの仲が悪い場合には、その可能性は更に高まります。

しかし、ご自分が亡くなった後には相続争いが発生する可能性が高いことを事前に知っていれば、却って積極的に対策できることもあります。

今回は、自身の相続時に相続人となる子供達の中が悪い場合に、生前の今だからこそしておくべき対策について解説させていただきます。

1 相続人である子供の仲が悪い場合のリスク

まずは、子どもたちの仲が悪い場合の相続にはどのようなリスクが起こりやすいのか見ていきましょう。

1-1.遺産分割協議が難航する

遺産分割協議は、相続人間で行われる遺産の分け方についての話し合いです。

遺産分割協議を行っても、相続人同士の仲が悪く、互いに主張を譲らない状況では一向に話が進みません。更に喧嘩が発生してしまうと、話し合い自体を継続できなくなる可能性もあるのです。遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要となるため、「話し合いにならない相続人には参加させなければいい」というわけにもいきません。

遺産分割協議がまとまらないと、遺産の名義を被相続人から相続人へ変更することができません。遺産が被相続人名義のままでは、次のような悪影響があります。

  • 預貯金は凍結されたままで払い戻しができない(※)
  • 遺産である不動産の売却や建て替えなどができない

201971日以降は、遺産分割前であっても預貯金の一部の払い戻しが受けられる制度が創設されています。

1-2.相続税申告が難航する

遺産が相続税の基礎控除額(※)を超えている場合には、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税申告もしなければなりません。兄弟姉妹間の仲の悪さは、次のように相続税申告にも影響する可能性があります。

※相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

未分割のままでは高額な相続税が発生する

相続税申告は基本的には遺産分割協議がまとまり、通常、遺産分割が完了してから行います。しかし、遺産分割協議がなかなか成立しない場合などには、未分割の状態でも申告は行うことができます。ただし、未分割では配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。いずれも非常に大きな節税効果のある特例であるため、これらを適用できないと、高額な相続税を納めなければならなくなります。

もっとも、その後遺産分割が完了した際に、「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の特例」の適用を受けた更正の請求を行うことで、納め過ぎた相続税の還付を受けることができます。つまり、特例の適用ができない分、一旦は、多額の納税資金が必要になってしまうのです。

相続人が別々の相続税申告書を提出すると税務調査が入りやすい

相続税申告は相続人全員で1つの申告書を提出する共同提出が一般的となっていますが、相続人がそれぞれ単独で提出することも可能です。相続人が兄弟姉妹の4人の場合には、4つの申告書を提出するということです。

ただし、相続人間の仲が悪い場合には、相続情報がすべて共有されている可能性は低く、それぞれの申告内容にどうしても差異が生じてしまいます。1人の被相続人に対する相続税申告が、相続人ごとに異なる内容の申告書で提出されるため、税務署は事実確認のために高確率で税務調査の対象にすると考えられます

税務調査により申告内容を否認されてしまうと、加算税や、延滞税が課されることになってしまいます。

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2 被相続人となる方がとるべき対策

次に、被相続人になる方が生存している今だからこそできる対策を解説します。

2-1.遺言書を作成して遺産分割協議を回避

相続争いを回避するために有効なのが「遺言書」です。遺言書がある場合には、原則として遺言書に従って遺産分割がなされます。そのため、子どもたちの仲が悪いと難航しやすい遺産分割協議を行う必要がなくなるのです。

遺言書に決められた様式はありませんが、法律上の要件を満たしていなければ無効になってしまうことがあります。

また、遺言書の記載内容が遺留分を侵害していると、侵害された相続人から遺留分侵害額請求がなされ、遺言書が相続争いの原因となってしまう可能性があります。そのため、兄弟姉妹の相続分をできるだけ公平にして、一部の相続人の相続分が多くなる場合には、事前に説明をして全員の承諾を得たほうがいいでしょう。

遺言書の効力を確実に発揮できるように、作成する際には、内容を弁護士に相談したうえで、公正証書遺言にしておくことをおすすめします。

2-2.相続税の納税資金対策で資金を確保

税金は原則として現金一括納付となっています。相続税も例外ではありません、そこで、納税資金の準備も重要な対策の1つです。

また相続税には、相続人同士に連帯納付義務があり、例えば兄弟が相続し、弟が相続税を納付できなければ、兄が代わりに納付しなければならなくなってしまいます。

遺産の金融資産割合を増加する

遺産がどれだけ多くても、納税するための現金が少なくては、相続人が資金繰りに困ることになってしまいます。不要な不動産などは生前のうちに売却して現金化しておくと良いでしょう。

また、生命保険を活用することで、死後に多額の現金を相続人に渡すことが可能です。

受け取った保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象にはなりますが、生命保険の非課税枠(※)を差し引けるため、保険金相当額を現金で相続するより相続税は少なく済みます。納税資金対策として加入する生命保険は、確実に保険金を受け取ることができるよう、終身保険をおすすめします。

※生命保険の非課税枠=500万円×法定相続人の数

相続人の金融資産を増加させる

相続時まで待たずに、生前贈与によって相続人へ納税資金を渡しておく方法もあります。

例えば、配当金のある有価証券や、賃貸収入のある不動産などを生前贈与します。贈与を受けた相続人は、財産から発生する収入によって現金を増加させることができ、さらに贈与をした被相続人は自身の遺産が貯まり続けることを回避できるため、相続税の節税にも繋がります。

納税資金として相続人に金融資産を分配

遺産分割について事前に話し合っておき、不動産などすぐに現金化しにくい遺産のみを相続することになった相続人には納税資金分を上乗せして相続させます。相続時に他の兄弟姉妹から不公平の声が出ないよう、理由を説明して納得してもらうことも重要です。

3 相続対策は当事務所へご相談を

相続人となる子どもたちの仲が悪いと、相続では、通常より相続争いに発展する可能性が高くなります。

相続争いは、多くの場合遺産を取得する際の「不公平さ」に起因します。ご存命中に、しっかりと相続について話し合い、全員が納得した状況で相続を迎えるようにしたいものです。

当事務所では、弁護士が在中しているため相続対策についても、様々なサポートが可能です。お困りのことなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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