二世帯住宅で小規模宅地等の特例を適用するには
相続税を大きく節税できることで頻繁に利用される小規模宅地等の特例ですが、二世帯住宅であっても適用は可能です。 ただし…[続きを読む]
相続でお悩みの方をトータルサポート[東京・神奈川・千葉・埼玉]
目次
マイホームを持つためには家屋の建設費と土地代が必要であり「夢のマイホーム」を持つためには多くの費用が必要です。しかし、親が持っている土地にマイホームを建設することができれば土地代を抑えることができ、マイホームも夢ではないと考えている方もいらっしゃるのではいでしょうか。
親の土地に家を建てる時に注意しなければならないことは「税金」です。ここでは「親の土地に家を建てる場合の税金と相続対策」について詳しく解説します。
親の土地に家を建てる場合「土地を譲り受けるのか」それとも「借りるのか」によって課税される税金が異なり、具体的には次の5つに区分されます。
子どもへの税金 | 親への税金 | 固定資産税の負担 | |
---|---|---|---|
①無償で親の土地に家を建てる | 相続税 | ― | 土地:親 家:子 |
②親へ地代を支払い、家を建てる | 相続税または贈与税 | 所得税・住民税 | 土地:親 家:子 |
③親から土地の贈与を受けて家を建てる | 贈与税、不動産取得税 | ― | 土地:子 家:子 |
④親の土地に二世帯住宅を建てる | 相続税 | ― | 土地:親 家:登記名義人 |
⑤親の土地を購入して家を建てる | 不動産取得税 (格安の場合は贈与税) |
譲渡所得税 | 土地:子 家:子 |
親の土地に家を建てるために子供が無償で土地を借りる場合は、「無償使用契約」が締結されます。
土地を無償で借りた子供には、土地を使用する権利が生じるため「親から子への家賃相当額の贈与」になると考えてしまいがちです。しかし、無償での使用には借地借家法上の借地権という権利は発生せず、「個人間における土地の使用貸借」になり、土地を無償で借りる使用貸借には、贈与税などの税務上の問題は発生しません*。
ただし、土地の所有者である親が亡くなり相続が発生すると、その土地は相続財産となり、相続税の課税対象になります。
通常の借地の相続税評価では借地権を差し引くことができますが、使用貸借である場合には借地権を差し引くことができず、自用地としての評価となる点には留意しましょう。
*【出典】「「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて(昭和48年11月1日)」|国税庁
子どもが親に通常の土地の地代と権利金を支払い、親が所有する土地を借りて家を立てる場合には、一般的な取引となり贈与税の課税は発生しません。親には地代収入が発生することになるため、確定申告により所得税と住民税が課税になります。
子どもが親へ地代を支払う場合「地代をいくらにするのか」が問題になります。地代の設定には、権利金の支払いがある場合(通常の地代)と権利金の支払いがない場合(相当の地代)によって異なります。権利金を支払わずに通常の地代を支払っている場合には、子どもに権利金相当額が贈与税の課税になってしまうケースもあり、慎重に検討する必要があります。
また、土地の固定資産税相当額を子どもが地代として支払うケースでは、使用貸借の範囲内として認められるため贈与税の問題は発生しません。
土地の所有者である親の相続が発生すると、その土地は相続財産となり、相続税の課税対象になります。土地の相続税評価額を計算する際には、子どもが通常の地代を払っていたのか、それとも相当の地代を払っていたのかによって借地権の評価が異なる点にも留意が必要です。
親から土地の贈与を受け、その土地に家を立てる場合には、子どもに「贈与税」が課税されます。
贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの制度があり、どちらの制度にも年間110万円までの非課税枠が存在します。暦年課税は110万円を超えた部分に対し贈与税が課税され、相続時精算課税には110万円の他に2,500万円の非課税枠があるため、合計2,610万円までは贈与税が課税されません。ただし、相続時精算課税で利用された2,500万円の非課税枠は相続税の計算で相続財産に加算されることになります。
また、親から子どもへ土地の贈与が行われると、子どもに不動産取得税や登録免許税の負担が生じることになり、贈与後は名義人である子どもが土地の固定資産税を負担することになります。
親の土地に二世帯住宅を建てる場合は、土地を親の名義のまま、二世帯住宅を親と子の共有名義にするケースが一般的です。
二世帯住宅を親と子どもの共有登記ではなく、1階は親、2階は子どもというように区分所有登記を行うことも可能ですが、相続が発生した時に宅地の相続税評価額を大きく減額できる小規模宅地等の特例を使えなくなることもあります。
二世帯住宅は、建築費用の負担割合と共有持分の割合が一致していれば贈与税が課税されることはありません。親の相続が発生した際には、底地と親の二世帯住宅の持ち分が相続財産として相続税の課税対象になります。
親の土地を購入して家を建てる場合に、土地の購入価額が土地の時価よりも低い場合には「みなし贈与」となり、子どもに贈与税の課税が発生します。
また、土地を購入した場合には、子どもに不動産取得税と登録免許税の負担が生じます。
さらに親には、土地を売却したことによる譲渡益について譲渡所得税が課税されます。
親の土地に家を建てる際に、他に相続人がいるとトラブルの原因になってしまうことがあります。
相続人間での争いを回避するためにも、次のような対策を考えてみましょう。
家を建てる子ども以外の相続人が不公平感を抱かないように、対象の土地以外に財産を相続させることなどを記した遺言書を作成することで相続トラブルの回避に繋がります。
親の土地を借りて家を建てている場合に相続トラブルが発生すると、遺産分割協議が成立せずになかなか子どもの名義に変更できないといった事態に陥ることがあります。
このようなトラブルを回避するには、生前に対象の土地を親から贈与してもらう方法があります。ただし、生前贈与には多額の贈与税が発生することもあるため、慎重な検討が必要です。
親の土地に家を建てるメリットは、「土地の購入費用を節約することができる」ことです。住宅ローンを組む場合には、建物のみのローンになるため毎月の返済額も少なくてすみます。
また、親と子どもが近くにいることで緊急時や困った時に協力することができ、日々の生活に安心感を得られるというメリットもあります。
親の土地に家を建てている子ども以外に相続人がいると、相続人の間でトラブルになってしまうことも考えられます。もし、親の財産の大半をその土地が占めていれば、他の相続人からの不満が生じるでしょう。
また、子どもが住宅ローンを組んでいる場合には、ローンの返済が滞った際に親に迷惑をかける可能性があります。親の土地に建てる家の住宅ローンを組む場合は、その土地と建設した家を担保に入れ、抵当権を設定することが一般的です。もし、住宅ローンの返済が滞れば、土地が売却されてしまうリスクがあります。
親の土地に家を建てる場合には、親から土地を譲り受けるのか、それとも無償で借りるのかなど、どの方法にするかによって課税される税金が異なります。
また、子どもが土地を有償で借りる場合や購入する場合には、いくらにするのかによって贈与税の負担が発生する場合もあるため、慎重に金額を設定することが重要です。
当事務所は、このような親の土地に家を建てる際の税務についても多数取り扱っております。ぜひ、一度ご相談ください。
生前対策については、上記のような場合以外にも、検討する課題が多く、専門家の助けが必要なケースが少なくありません。
弊所では税理士・社会保険労務士・行政書士・弁護士でUグループを形成しており、ワンストップで相続手続き全般についてご相談いただけます。
無料面談も実施していますので、まずはお問い合わせください。
また当事務所はメルマガで、相続に関する最新情報や当事務所主催の各種セミナーのご案内をお知らせしています。登録・購読は無料です。
下記フォームから登録すると、メルマガで最新情報を受け取ることができます。
税理士法人 上原会計事務所
〒151-0051
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-27-3
やまとビル7階
(新宿駅新南口より徒歩3分)
TEL:0120-201-180
FAX:03-5315-0178