贈与税申告の期限や納付方法・留意点について
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自宅の敷地など、所有している財産に土地があると、子に引き継ぐためには「生前贈与がいいのか、それとも相続がいいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。土地の生前贈与は「相続対策」としてのメリットがある一方で、税金面で損をしてしまうケースもあるため、状況によって使い分ける必要があります。
ここでは「土地を生前贈与する場合のメリットや手続き方法」について解説します。土地の生前贈与を検討中の方は、ぜひ最後までお付き合いください。
土地を相続ではなく生前贈与で移転すると相続時のリスクを回避する「相続対策」になるメリットがあります。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
高齢化社会に伴い増加するのが「認知症」です。認知症が発症してしまい、意思能力がないと判断されてしまうと、土地の売却や遺言書の作成などの法律行為ができなくなってしまいます。
特に困るのが、認知症を発症してしまい施設に入居する場合です。施設に入居すると、多額の費用がかかることもあり、土地を売却して資金を工面しなければならない状況も考えられます。しかし、認知症を発症してしまっていると土地の売却が行えず、資金調達が難しくなってしまうことがあります。
元気で正常な判断ができるうちに土地を生前贈与しておけば、万が一のことがあっても受贈者の判断で土地の売却ができるため、生前贈与は認知症対策として有効な方法です。
生前贈与は、自分が所有している土地を希望の相手に確実に承継させることができます。相続であっても、遺言書を作成することで希望の相手に土地を承継させることができますが、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる遺産分割を行うことも可能です。
確実に希望の相手に土地を承継させるためには、遺言書の作成よりも生前贈与の方が効果的です。
将来的に土地の価値が上がることが分かっている場合や、継続的に地代収入(家賃収入)がある場合は、早めの生前贈与を行うことが相続税対策になる場合があります。
将来値上がりするのが確実な土地の場合は、時価が安いうちに生前贈与することで、土地が安いうちに贈与税が課税されるため節税効果があります。
また、継続的に地代収入(家賃収入)がある場合には、生前贈与を行い所有権を移転ことで、家賃収入に課される相続税を支払わずに済むため、結果的に相続税対策に繋がります。
ただし、宅地の相続では、相続税額を大きく減額できる「小規模宅地等の特例」を利用することができますが、生前贈与の場合はこの特例を利用することができず、税金面で不利になってしまうおそれがあります。詳しくは、税理士に相談することをお勧めします。
「生前贈与にメリットがあるのは分かるけど、生前贈与って何だか難しそう」と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、生前贈与の手続きは相続手続きに比べてとてもシンプルです。
土地の生前贈与を行うためには「不動産贈与契約」の内容を決める必要があります。決める項目は「①誰が」「②誰に」「③何を」の3つだけです。この3つが決まり、贈与者と受贈者が合意をすることで不動産贈与契約が成立します。
不動産贈与契約を締結した後、その契約を明らかにするために「不動産贈与契約書」の作成を行います。贈与契約は「あげましょう」「もらいましょう」という口頭で約束しても有効ですが、トラブルを避けるためにも必ず不動産贈与契約書を作成しましょう。
契約書と聞くと難しく感じてしまいますが、内容はいたってシンプルで「①誰が」「②誰に」「③何を」を記載します。
不動産贈与契約書の記載例
贈与契約書 贈与者〇〇 〇〇(以下、「甲」という。)と受贈者〇〇 〇〇(以下、「乙」という。)は、本日、以下のとおり贈与契約を締結した。 第1条 甲は、その所有する下記不動産を乙に贈与する旨の意思を表示し、乙は、これを承諾した。 所 在 〇〇市〇〇町〇丁目 第2条 甲及び乙は、前条の不動産の贈与について、相互に協力して速やかに所有権移転登記手続を行う。 2 前項の所有権移転登記手続に要する費用は、乙が負担するものとする。 上記のとおり契約が成立したので、これを証するため、本契約書2通を作成し、甲乙各1通を保有するものとする。 令和〇年○月〇日 住 所 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇 |
※不動産の贈与契約書には200円の印紙を貼り、契約書に押した印鑑で消印が必要です。
契約書に不動産の価値を記載してしまうと、その価値に見合った収入印紙が必要になるため注意しましょう。
贈与契約書を作成した後は、法務局で不動産の名義変更手続きを行います。手続きには次の書類が必要です。
贈与が行われた日の翌年2月1日から3月15日までに贈与税申告手続きを行います。土地の相続税評価額を計算して贈与税申告書を作成し、登記事項証明書などの添付資料とともに申告書の提出を行います。
土地の生前贈与では、相続が発生した時に贈与時の価額を相続財産総額に合算する「相続時精算課税制度」を利用するケースが多いです。土地の相続税評価を含め、相続時精算課税制度は複雑な制度ですので税理士に相談しましょう。
土地の生前贈与を行う場合には、次の税金が課税されます。
贈与税には原則的な方法である「暦年課税」と選択することで利用できる「相続時精算課税制度」があります。
暦年課税の場合の贈与税の計算方法
贈与税=(贈与額-110万円)×税率
※税率は累進課税となっており、土地の時価が大きければ大きいほど税率が高くなります。
相続時精算課税制度を利用した場合の贈与税の計算方法
贈与税=((贈与額-110万円)-特別控除額*)×20%
*累計2500万円まで過去に贈与した金額を差し引ける非課税枠
※前述の通り、相続時精算課税制度では、贈与者が亡くなった際に相続税の課税対象財産となります。
不動産取得時に、不動産を取得した方に課税される税金です。
不動産取得税の計算方法
不動産取得税(土地)=固定資産税評価額×税率3%
※宅地については固定資産評価額の2分の1を課税価格とする特例措置があります。(令和9年3月31日まで)
名義変更手続きの際に、法務局へ納める税金です。
登録免許税の計算方法
登録免許税=固定資産税評価額×税率2%
土地を生前贈与すると、贈与税の他にも不動産取得税、登録免許税がかかるため、まとまった納税資金が必要です。
相続時精算課税制度を利用することで一時的に贈与税の繰り延べを行うことはできますが、相続税が多く課税されることになるだけで、相続時の納税資金対策が必要になります。
生前贈与を特定の相続人だけに行うと「特別受益」に該当してしまうことがあります。「特別受益」とは、一部の相続人が被相続人から受けた特別な利益を指します。
特定の相続人だけが生前贈与で財産を受け取っているのにも関わらず、これを無視して遺産分割協議を行うと相続人の間で不公平になってしまうため、生前贈与が特別受益に該当した場合には、「特別受益の持ち戻し」として相続財産の額と合算し、その上で具体的な相続分の計算を行わなければなりません。
つまり、生前贈与が特別受益とされた場合は、結果的に相続できる財産が減ってしまうことになります。
土地の生前贈与は、状況によっては相続対策として有効な方法であり、税金面でも相続時精算課税制度を上手く使うことで有利になることがあります。
しかし「生前贈与と相続はどちらが得になるのか」を判定するには、専門的な知識が必要になり、様々な状況を考慮しなければ分かりません。土地の生前贈与を検討されている場合は、税金の専門家である税理士に相談することをお勧めします。
当事務所は、相続税と贈与税の比較はもとより、「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」いずれを利用すると、より節税対策になるのかをシミュレーションすることができます。
土地の贈与を含め、生前対策についてご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
生前対策については、上記のような場合以外にも、検討する課題が多く、専門家の助けが必要なケースが少なくありません。
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