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事業復活支援金の申請は終了済みです。
終わりの見えない新型コロナウイルスとの闘いで、体力のない中小企業や個人事業者は事業の継続が難しくなってきています。政府は新型コロナウイルスの影響により売上高が減少している中堅・中小・小規模事業者、個人事業者を対象に、事業の継続や回復を支援する、最大250万円の「事業復活支援金」の支給を新しく開始します。
ここでは、中小企業庁より2022年1月24日付けで公式発表された情報をもとに、事業復活支援金の概要と申請方法、給付額の計算方法について紹介します。
【出典】事業復活支援金 公式サイト
1.事業復活支援金とは?
事業復活支援金は、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者であり、かつ、売上高が減少した事業者を対象に支給される支援金です。
1-1.新型コロナウイルスの影響を受けた事業者とは?
新型コロナウイルスの影響を受けた事業者とは「新型コロナウイルスの拡大や長期化に伴う需要の減少、又は供給の制約により大きな影響を受けた事業者」と規定されています。具体的には次のような事業者が該当します。
<需要の減少>
- 国や自治体のイベントの中止や時短営業による需要の減少
- 取引先などがイベントの中止や時短営業したことによる需要の減少
- 消費者の外出自粛や生活様式の変更に伴う需要の減少
など
<供給の制約>
- コロナ禍が起因となる供給減少や流通制限による原材料などの調達難
- 国や自治体による休業要請などにより取引先との商談機会の減少
- 国や自治体による休業要請などによる従業員の就労制約
見てわかるとおり、売上高が減少した中小企業や事業者であれば、ほとんどのケースで該当するのではないでしょうか。
1-2.給付の対象になる売上高の減少
事業復活支援金の支給対象になる売上高の減少は次のように規定されています。
例えば、2018年11月の売上高が100万円であり、2021年11月の売上高が50万円であった場合、50%の減少になるため、事業復活支援金の支給対象となります。
2.給付額の計算方法
2-1.給付額の計算方法と上限額
事業復活支援金の支給対象になった事業者は、次の式で求めた金額の給付を受けることができます。
※1 基準期間は「2018年11月~2019年3月」、「2019年11月~2020年3月」、「2020年11月~2021年3月」のいずれかの期間(対象月を判断するため、売上高の比較に用いた月(基準月)を含む期間であること)
※2 2021年11月~2022年3月のいずれかの月(基準期間の同月と比較して売上が50%以上または30%以上50%未満減少した月であること)
ただし、給付額には上限が設定されています。中小企業については、比較に用いた基準月を含む事業年度の年間売上高によって上限額が異なります。
<給付の上限額>
売上減少率 | 個人事業者 | 法人 年間売上高 | ||
---|---|---|---|---|
1億円以下 | 1億円超~5億円未満 | 5億円超 | ||
50%以上 | 50万円 | 100万円 | 150万円 | 250万円 |
30%以上50%未満 | 30万円 | 60万円 | 90万円 | 150万円 |
2-2.給付額の計算例
中小企業の場合でどれくらいの金額が給付されるか、具体例を見ていきましょう。
<具体例①:売上高が50%以上減少しているケース>
3月決算法人で対象月を2021年12月、基準期間を2019年12月とした場合
①まずは売上高の減少率がどれくらいになっているのかを把握します。対象月(この場合は2021年12月)と基準月(この場合は2019年12月)を比較し、30%以上減少しているか確認します。
売上高が50%減少しているため、事業復活支援金の給付対象になります。この中小企業の2019年度の年間売上高は1,260万円ですので、給付の上限額は100万円(減少率50%以上、年間売上高1億円以下)になります。
②続いて、給付金額の算定を行います。給付金額の算定式は「基準期間の売上高合計-(対象月の売上×5)=事業復活支援金の給付額」となっています。
(※この場合は黄色で囲んだ2019年11月~2020年3月)
算出した金額は給付上限額を超えているため、給付上限額の100万円が給付額になります。
<具体例②:売上高が30%以上50%未満減少しているケース>
3月決算法人で売上高が減少している月が複数ある場合(便宜上、基準期間を2019年度とする)
上記の場合、2021年11月を対象月とすると30%減少、2022年1月を対象月にすると33%減少しており、どちらの月も要件を満たすことになります。この場合は、どちらの月を対象月にした方がよいか判定する必要があります。
2021年11月を対象月にした場合
※2019年11月~2020年3月
給付の上限額60万円(30%以上50%未満、年間売上高1億円以下)に満たないため給付額は20万円
2022年1月を対象月にした場合
※2019年11月~2020年3月
給付の上限額を超えているため、給付額は上限の60万円
売上高が30%以上減少している月が複数ある場合は、売上の少ない月を対象月にした方が有利になります。
3.申請スケジュールと必要書類
事業復活支援金は2022年1月31日より受付が開始され、2022年5月31日に申請受付が終了します。4か月しか受付期間がありませんので、速やかに申請準備を行いましょう。申請には次の書類が必要になります。
- 法人税の確定申告書(法人の場合)、所得税の確定申告書(個人事業者の場合)
※法人の決算月および、どの年度を基準期間に選ぶのかによって提出が必要になる確定申告書の年度が異なります。 - 対象月の売上に係る帳簿
- 履歴事項全部証明書(法人)、本人確認書類(個人)
- 通帳(振込先が確認できるページ)
- 宣誓・同意書
4.事前確認とは? 登録確認機関と必要書類
以前に一時支援金又は月次支援金を受給していない個人または法人は事前確認が必要です。事前確認とは、不正受給や給付対象ではないのに誤って申請してしまうことを防ぐために事前に申請者へ確認することを言います。
事前確認は、登録確認機関により、TV会議や対面、電話での簡略化された確認を行います。
4-1.登録確認機関と継続支援関係について
登録確認機関は以下のような個人・団体であり、事務局のWEBサイトから検索することが可能です。
- 認定経営革新等支援機関(※)
- 商工会/商工会連合会、農業協同組合/漁業協同組合等
- 税理士/中小企業診断士/行政書士/公認会計士、またはそれらの法人等
※中小企業等経営強化法に基づき認定を受けた税理士、中小企業診断士、行政書士など
当事務所は、「認定経営革新等支援機関」として認定を受けています。
なお、事前確認では「継続支援関係」があると、売上に関する資料などを提出しなくてよいため、スムーズに手続きすることが可能です。
「継続支援関係」とは、次のような場合をいいます。
- 税理士/中小企業診断士/行政書士などの顧問先(過去1年以上継続しているもの、または、今後も含め契約等期間が1年以上のもの)
- 商工会/商工会連合会、農業協同組合/漁業協同組合等の会員・組合員(過去1年以上継続しているもの、または、今後も含め会員等期間が1年以上のもの)
- 金融機関の事業性融資先
4-2.事前確認に必要な書類
事前確認には下記のような書類が必要です。
- ①本人確認書類、履歴事項全部証明書(中小法人等のみ)
- ②収受日付印の付いた、以下の期間分の確定申告書の控え
中小法人等:2019年11月、2020年11月、基準期間を含む全ての事業年度 - ③2018年11月から対象月までの各月の帳簿書類 (売上台帳、請求書、領収書等)
- ④2018年11月以降の全ての事業の取引を記録している通帳
- ⑤代表者又は個人事業者等本人が自署した「宣誓・同意書」
ただし、登録確認機関と継続支援関係にある場合は、①②③④の書類を省略できます。用意するのは⑤だけになります。
まとめ
事業復活支援金は国の支援策です。しかし、受給要件を満たしていたとしても申請しなければ受給することはできません。
コロナ禍での厳しい経済状況の中で事業を継続させていくためには、給付金を確実に受給していくことが重要です。