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役員変更登記の流れと必要書類、会社の相続手続き

相続・事業承継等で、会社の代表や役員に変更が生じたときは、役員変更登記を行う必要があります。決して難しい手続きではありませんが、必須の手続きです。

役員変更登記の流れと必要書類についてわかりやすく解説します。

1.役員変更の登記申請の種類

株式会社や合同会社などの法人の役員を変更する場合には「役員変更登記」が必要です。役員変更登記は役員の「新任、退任、重任(再任)、辞任、解任」が行われた時に、登記の事由が発生した時から2週間以内に登記申請を行わなければなりません。株主総会で役員変更の決議が行われた場合は、株主総会が行われた日の翌日から2週間以内が期限になります。

役員変更登記を怠ると選任懈怠とみなされ、代表者に100万円未満の過料が課せられるおそれがあります。

【役員変更が必要な役員】
・取締役(代表取締役を含む)、監査役、会計参与
※取締役会を設置しない場合は、原則的に監査役を設置する必要はありません。会計参与の設置は会社の規模にかかわらず任意です。
※執行役員は会社法で定められている役員には該当しないため、変更登記は必要ありません。

2.相続による事業承継の場合の役員変更登記の流れ

代表取締役が亡くなり相続が発生した場合、速やかに後任の選任を行う必要があります。代表者が不在になってしまうと、新規契約などの法律行為ができなくなってしまうので、一刻も早く後任の選任を行う必要があります。

2-1.後任の選任

後任の選任は、取締役会設置会社と取締役会非設置会社によって選任方法が異なります。

2-1-1.取締役会設置会社

取締役会設置会社では、残った取締役で取締役会を開催し、後任の代表取締役の選任を行います。

取締役会設置会社では、取締役は3人以上でなければならず、代表取締役が死亡したことにより取締役の人数が2人以下になった場合には、臨時株主総会で3人目の取締役を選任したうえで、取締役会を開催し、代表取締役の選任を行うことが望ましい方法です。定款により取締役の定足数の加重要件が定められていない場合は、残りの取締役2名で取締役会を開催し、後任の代表取締役を選任することも可能です。

2-1-2.取締役会非設置会社

取締役会非設置会社の場合、原則的に残りの各取締役が代表権を持つことになります。しかし、一般的には残った取締役の互選や株主総会の決議によって後任の代表取締役の選任を行います。

もともと代表取締役が1人で他に取締役がいなかった場合、代表取締役どころか取締役が不在という状況になってしまいます。この場合は、株主総会を早急に実施し、代表取締役の選任を行う必要があります。しかし、株主総会は取締役が招集することになっているため、取締役が不在の場合には株主総会が招集できません。そのため、株主全員の同意により株主総会の招集手続きを省略する必要があります。

2-2.役員変更登記

後任が決まったら後任の役員変更登記(就任)と先代の死亡登記を同時に行わなければなりません。死亡登記は、死亡日を起算日として2週間以内となっているため、後任の選任についても急いで行いましょう。

【役員の任期について】
株式会社の役員には任期(最長10年)があり、任期を迎えると原則的に退任することになります。ただし、任期満了後に重任を行うことで再度役員になることができます。役員の重任については役員変更登記が必要です。

合同会社の役員については、株式会社と異なり任期はなく、任期満了による退任、重任などの役員変更登記は必要ありません。

3.役員変更登記に必要な書類

代表取締役の死亡による退任と後任の代表取締役就任は同時に行う必要があり、登記の際には次の書類を法務局に提出します。

【代表取締役が死亡した場合の役員変更登記に必要な書類】

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録(取締役会議事録)
  • 死亡を証する書面(死亡記載のある戸籍、死亡診断書、住民票、遺族から会社に対する死亡届(※)のいずれか)
  • 新代表取締役の就任承諾書
  • 新代表取締役の印鑑証明書
  • 代表取締役の選任方法が定款で定められている場合は定款の写し

※死亡を証する書面は、遺族からの会社に対する死亡届でも認められています。死亡届の書き方は次のとおりです。

○○株式会社 御中

死亡届

貴社の代表取締役○○○○は、令和○年○月○日に死亡いたしましたので、お届けいたします。

令和○年○月○日
○県○市○町○丁目○番○号
長男 ○○ ○○

3-1.平取締役が死亡した場合の役員変更登記

代表取締役ではない平取締役が死亡した場合には、後任の取締役の就任と同時に行う必要はなく、死亡による退任登記だけを行えばいいことになっています。取締役の死亡退任により定款で定められた取締役の人数を下回ることになったとしても、取締役の死亡登記を行うことは可能です。

ただし、新たな取締役の選任を行わず、定款で定められた取締役の人数を満たしていない場合は会社の代表者に過料が課されるおそれがあります。

4.変更登記申請書の書き方

代表取締役の死亡登記、後任の役員変更登記を行う場合の登記申請書の書き方は次のとおりです。

※1登記すべき事項
登記すべき事項では取締役の退任と就任を次のように記載します。通常は申請書のスペースに入らないため別紙に作成し、申請書には「別紙のとおり」と記載することが一般的です。

「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」○○○○
「原因年月日」令和○年○月○日死亡
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」○県○市○町○丁目○番○号
「氏名」○○○○
「原因年月日」令和○年○月○日就任

※2登録免許税
登録免許税は資本金によって異なります。資本金が1億円以下の場合は10,000円、1億円を超える場合には30,000円の登録免許税が必要です。

変更登記申請書は法務局のHPからダウンロードすることができます。記入例や書き方もセットになっています。

【ダウンロード】法務局:株式会社変更登記申請書変更登記申請書
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001249325.pdf

5.役員変更登記の申請方法

役員変更登記は、自分で書類を作成して窓口で提出または郵送で提出する方法とオンラインで申請を行う方法があります。

5-1.自分で書類を作成して提出する方法

役員変更登記は、必要になる書類を作成して法務局の窓口または郵送で提出することができます。作成した書類の印刷や押印などの作業が必要になりますが、司法書士に依頼する費用がかかりません。窓口で提出する場合には書類不備などを直接指摘してもらえるので安心です。

5-2.オンラインで申請する方法

役員変更登記はオンラインで申請することも可能です。登記・供託オンライン申請システムに登録を行い「申請用総合ソフト」をインストールすることで利用できるようになります。オンライン申請の利用には、電子認証のための電子証明書やICカードリーダライタが必要になるため、準備に手間がかかってしまう場合もあります。

オンライン申請の場合は、もし書類に不備があったとしてもオンライン上で申請書の修正ができ、登記が完了したかどうかもオンラインで確認できるため、窓口で提出するよりも利便性が高い方法です。

5-3.司法書士に依頼する方法

全て専門家に任せたい場合は、役員変更登記の専門家である司法書士に依頼することができます。司法書士報酬が発生しますが、具体的な相談をすることができ、手続きがスムーズに進みます。司法書士に依頼したほうが確実かつ安心に登記を行うことができます。

5-4.役員変更登記にかかる費用

役員変更登記にかかる費用は登録免許税(資本金1億円以下10,000円、1億円超30,000円)のみです。司法書士に依頼する場合は、司法書士事務所によって料金設定が異なりますが通常2~5万円程度の報酬が発生します。

6.会社の相続・事業承継の手続きをまとめてお受けします

役員変更登記は、会社の相続・事業承継で必要な手続きのうちの一つです。他にも、相続税申告、所有権移転登記(相続財産に不動産がある場合)、金融機関・税務署など各種機関への代表変更の連絡など、多くの手続きがあります。手続きの中には期限があるものもあります。

期限がある中で、これらすべての手続きを相続人や後継者が自分たちだけで進めていくことは非常に大変です。

当事務所では、関連する専門家と提携しながら、会社の相続手続きを承っております。無料面談を実施しておりますので、まずはお気軽にご連絡願います。

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