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1億円にかかる相続税はいくら?相続税の計算方法を解説

相続税は、亡くなった被相続人の財産が多ければ多いほど相続税率が高くなる「累進課税制度」になっており、最低税率10%から最高税率55%までの幅があります。また「法定相続人の数」や「配偶者の税額軽減が適用できるのか」により相続税額が大きく異なります。

「相続財産が1億円ある場合の相続税はいくら」と考えた際には「法定相続人が何人いるのか」「法定相続人に配偶者がいるのか」を把握することで、概算の相続税額を導き出すことができます。

ここでは「相続財産が1億円ある場合の相続税額の計算方法」について、詳しく解説します。

11億円にかかる相続税の早見表

財務省の「相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料」によると、令和3年の亡くなった被相続人の課税価格(相続財産の価格)の全国平均は13,855万円です。

相続財産が1億円である場合は、法定相続人が大勢いない限り、ほとんどのケースで相続税が課税されます。相続税の概算を行う場合には「相続税の早見表」を利用すると簡単に税額を把握することができます。

 

1億円にかかる相続税の早見表 概算相続税額
相続人が配偶者のみ 0
相続人が配偶者と子供1 385万円
相続人が配偶者と子供2 315万円
相続人が子供1 1,220万円
相続人が子供2 770万円

※概算相続税額は配偶者控除を適用した後の税額です。

21億円にかかる相続税の計算方法

相続税の計算は、財産額に税率を乗じるだけで算出することはできません。通常は次の方法で相続税額を計算します。

2-1.正味の遺産総額の計算

正味の遺産総額とは、預金や不動産といったプラスの財産からローンや未払金などのマイナスの財産、葬儀にかかった費用、生命保険金の非課税枠や死亡退職金の非課税枠などの非課税財産を差し引いた金額のことを言います。ここでは「正味の遺産総額が1億円である場合」を想定して相続税額の計算を行います。

正味の遺産総額=プラスの財産-マイナスの財産-葬式費用等-非課税財産

後述する通り、生命保険金や死亡退職金には、次の非課税枠があり、この非課税枠を超えた部分のみが相続税の課税対象となります。

生命保険金や死亡退職金の非課税枠 500万円×法定相続人の数

2-2.課税遺産総額の計算

課税遺産総額とは、上記で求めた正味の遺産総額から、以下「基礎控除額」を差し引いた金額のことを言います。

課税遺産総額=正味の遺産総額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)

 法定相続人の数 基礎控除額
法定相続人が1 3,600万円
法定相続人が2 4,200万円
法定相続人が3 4,800万円

2-3.相続税の総額の計算

課税遺産総額の計算が終わったら、「相続税の総額」を一旦計算します。

相続税の総額とは、課税遺産総額を仮に「法定相続分の割合」で分け、相続財産に応じた相続税率を乗じて各人の相続税を算出し、相続人全員の相続税を合計した金額を指します。

法定相続分の割合は「民法に定められた遺産分割の目安」であり、次のとおりに定められています。

法定相続分の割合

配偶者と子供1人の場合 配偶者1/2 子供1/2
(子供が複数名の場合は人数で頭割り)
配偶者と直系尊属(父母や祖父母など) 配偶者2/3 直系尊属1/3
配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
同順位の相続人のみ 相続人の人数で頭割り

 相続税率は、相続財産に応じて次のとおりに区分されており、相続財産が1億円の場合は、相続人の数により異なりますが10%~30%の間の税率になります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

出典:「No.4155 相続税の税率」国税庁

2-4.各相続人が納付すべき相続税額を計算

最後に、「相続税の総額」を各人が取得した課税遺産総額に基づいて案分し、各人が納付する相続税額をします。

被相続人の配偶者には、後述する一般に相続税の配偶者控除として知られる「配偶者の税額軽減」を適用することができます。

2-5.事例を使って正味の遺産総額が1億円の相続税を計算

では、以下の事例を使って実際に相続税の計算をしてみましょう。

【事例】
正味の遺産総額:1億円
相続人:配偶者、子供1人

課税遺産総額の計算
1億円-基礎控除額4,200万円=5,800万円

相続税の総額の計算
配偶者:5,800万円×法定相続分1/2×税率15%-50万円=385万円
子供:5,800万円×法定相続分1/2×税率15%-50万円=385万円

相続税の総額
配偶者385万円+子供385万円=770万円

各相続人の納税額の計算
配偶者:相続税総額770万円×相続財産6,000万円/1億円=462万円
子供:相続税総額770万円×相続財産4,000万円/1億円=308万円

ただし、配偶者には「配偶者控除」により、実際には相続税は発生しません

3.相続税対策で一般的な控除や特例

相続税の計算では誰でも適用できる基礎控除以外に、様々な控除や特例が用意されています。

控除や特例を上手に利用することで相続税額を下げることができますので、利用できる控除がないか確認してみましょう。

ここでは、相続税の主な控除・特例をご紹介します。

3-1.配偶者控除

相続税の負担から配偶者の生活を守るために、相続税には、「相続税の配偶者控除」が設けられています。

配偶者は、相続した財産が16,000万円までであれば相続税がかからず相続財産が16,000万円を超えている場合であっても配偶者の法定相続分までは相続税が発生しません

配偶者控除を利用するためには「相続税の申告期限までに遺産分割が決まっていること」「相続税の申告を行うこと」などの要件があります。配偶者控除を利用すると相続税額を大きく下げることができるので、必ず要件を満たすようにしておきましょう。

ただし、二次相続までを考えると、必ずしも配偶者控除を限度額まで利用した方が有利になるとは限りません。配偶者が亡くなった場合の「二次相続まで検討しておく必要があります

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3-2.生命保険・死亡退職金の非課税枠

亡くなったことに起因して発生する生命保険金と死亡退職金は「みなし相続財産」として相続税が課税されます

生命保険金と死亡退職金には、の非課税枠が用意されており、非課税枠の範囲内であれば相続税が課税されません。

保険契約を見直すなど、有効に利用できるようにしておきましょう。

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3-3.小規模宅地等の特例

相続財産に自宅や事業用に使用していた宅地がある場合、宅地の相続税評価額を最大80%減額することができる「小規模宅地等の特例」という制度があります。

小規模宅地等の特例は、相続税の不動産に関する特例で一番重要な制度であり、宅地の評価額次第では大きく相続税を減額することが可能です。

ただし、適用するためには複雑な要件を満たす必要があります。遺産に不動産が含まれている場合は、専門家に相談しましょう。

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まとめ

1億円にかかる相続税は、法定相続人の状況によって異なりますが、早見表の税額が参考になると思います。

ただし、控除や特例の利用状況により、相続税額が大きく変わってきます。具体的な税額については、専門家にシミュレーションを依頼してみるといいでしょう。

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