贈与税の計算方法と税率について詳しく解説
年間110万円を超える財産の贈与を受けた人には贈与税がかかりますが、贈与税の算式自体は、シンプルです。 今回は、贈与…[続きを読む]
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家族間、特に夫婦間では日常的に金銭のやり取りがあるかと思います。しかし、そこに贈与税がかかることがあるのをご存じでしょうか。
今回は、夫婦間の贈与についてご紹介させていただきます。
なお、贈与税の計算方法や税率については、次の記事を参考にしてください。
夫婦には互いを扶養する義務があります(民法752条)。したがって、生活を送るうえで必要になる生活費や教育費については、いくら贈与しても贈与税はかかりません。
例えば、妻が専業主婦の世帯では、夫が妻に日常生活のための生活費を渡すでしょう。月20万円の生活費を贈与すると年間240万円になり基礎控除110万円を超えますが、必要な生活費には贈与税が一切かかりません。
ただし、生活に有り余る金額を渡していれば、その余剰部分については贈与税の対象となります。
あくまでも「必要な金額」であることが、贈与税がかからないポイントになります。
生活費や教育費以外の贈与であっても、次の場合には贈与税はかかりません。
夫婦間の贈与に限りませんが、暦年贈与には基礎控除として年間110万円が認められています。毎年1月1日から12月31までの間に行われた贈与の額が、110万円以下であれば贈与税はかかりません。
贈与税の基礎控除については、次の記事を是非、ご一読ください。
夫婦間で行われた贈与で次の要件に該当する場合には、贈与税の「配偶者控除」の適用を受けることができ、2,000万円まで贈与税はかかりません。長年連れ添った夫婦が適用できる制度であるため、通称「おしどり贈与」とも呼ばれます。
贈与税の配偶者控除は、暦年贈与の基礎控除額110万円との併用ができるため、非課税枠は最大で2,110万円となります。
ただし、贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、贈与税が非課税になるとしても、申告をしなければなりません。
贈与税の配偶者控除をご利用いただく際に、留意していただきたいのは以下の2点です。
ここでは、贈与税がかかる夫婦間の贈与で、よくあるケースを具体的にご紹介いたします。
次項では、それぞれどのようにしたら贈与税がかからなくなるのかを対比してご紹介したいと思います。
前述の通り、年間110万円の基礎控除を超える贈与には、超えた部分に対して贈与税がかかります。
例えば、結婚記念日に300万円のダイヤモンドの指輪をプレゼントしたとします。ご主人の思いやりと感謝がこもった贈り物ですが、税法は、そのような気持ちを汲んではくれません。
ダイヤモンドのプレゼントは贈与とされ、110万円を超えている部分に対して贈与税がかかります。
生活費や教育費以外の目的で、夫の口座の預金を妻の口座へ振り込んだ場合や、夫の現金を妻の口座へ預け入れた場合には、夫の財産を妻へ移動させたことが贈与となります。
したがって、110万円を超える部分については贈与税がかかります。
住宅の名義変更を行うと、所有者が変わったことになります。
住宅の名義を夫から妻へと変更をすることは、夫から妻への住宅の贈与となり、110万円を超える部分については贈与税がかかります。
夫婦で居住している住宅であっても、その所有者は登記されている名義人であり、その住宅を維持管理する責任は名義人にあります。
そのため、住宅の名義人以外が維持管理費を負担すると、その負担は名義人への贈与となります。
例えば、夫名義の住宅をリフォームした際に妻が資金を拠出した場合には、本来、夫が負担すべき資金を妻が肩代わりしたことが贈与となり、110万円を超える部分について贈与税がかかります。
ローンを名義人以外が返済すると、本来負担すべき名義人の借金を第三者が肩代わりしたことが贈与に該当し、贈与税の課税対象となります。
例えば夫が組んだ住宅ローンを、妻の貯金から繰り上げ返済すると、妻から夫への返済資金の贈与になり、110万円を超える部分については贈与税がかかります。
夫名義の住宅ローンの頭金を妻が肩代わりする場合も同様です。
共同名義の住宅ローンを単独名義のローンに書き換えると、「3-5.住宅ローンを名義人以外が返済」と同様の考え方になります。
例えば、夫婦の共有名義となっている住宅ローンを夫単独の名義に書き換える場合には、妻の借金を夫が代わりすることになり、夫から妻へ借金相当額を贈与したとみなされて、110万円を超える部分について贈与税がかかります。
共働きのご夫婦は、夫を主契約者、妻を連帯債務者として連帯債務型の住宅ローンを組み、登記上も共有名義として住宅を購入することも多いでしょう。
しかし、子供ができたなどの事情から、妻が現在の職場で働き続けることが難しくなり、夫単独債務型の住宅ローンへの借り換えを検討するご夫婦も少なくないのではないでしょうか。
こうした場合のローンの借り換えは、夫名義の新たなローンの借入金で、連帯債務型のローンを完済した後に、夫名義のローンを返済することになります。
こうしたケースでも、夫名義の借入金で妻分の残ったローンを一括返済することが贈与とみなされて、基礎控除110万円を超えた返済額については、贈与税が発生します。
住宅などの不動産を夫婦共有名義で登記をする場合の持ち分割合は、それぞれが出した資金の割合によります。例えば、5,000万円の住宅を夫婦が2,500万円ずつ負担して購入すると、登記上の持ち分割合はそれぞれ2分の1となります。
一方で、同じ住宅を夫が3,000万円、妻が2,000万円を負担して購入したにもかかわらず、2分の1ずつでの登記になっている場合には、夫から妻へ500万円の贈与があったこととなり、110万円を超える部分について贈与税がかかります。
離婚による財産分与は贈与とはならず、贈与税はかかりません。
ただし、贈与税が発生しないのは、離婚後に財産分与が行われた場合に限られ、離婚が成立する前に前倒しで財産分与を行うと贈与税の対象になり、110万円を超える部分について贈与税がかかります。
それでは、それぞれどのようにすれば贈与税がかからなくなるのか、ご紹介いたします。
贈与する金額を年間110万円以下に抑えることです。
結婚記念日のプレゼントはせっかくですが300万円ではなく、110万円のダイヤモンドにしていただければ贈与税はかかりません。
口座移動させる金額を年間110万円以下にすること、または、生活費や教育費として必要となる金額の範囲内にすることで贈与税はかかりません。
妻へ現金を300万円渡したい場合には、1回ではなく数年に分けて移動させます。例えば、1年目100万円、2年目80万円、3年目50万円、4年目70万円と贈与を行えば、合計300万円を無税で妻へ贈与することができます。
毎年100万円の贈与を3年間行うなど、毎年同じ額を贈与してしまうと、元々300万円を贈与することが目的の定期贈与と税務署にみなされてしまい、贈与額300万円に贈与税がかかってしまいます。
贈与額を毎年変えること、贈与契約書をその都度作成することなどで定期贈与のリスクは軽減できます。夫から妻、妻から夫への贈与を検討されているご夫婦は、税理士にご相談いただければと思います。
贈与税の配偶者控除の適用要件に該当すれば、申告することで2,110万円までは贈与税がかかりません。
贈与税がかからないようにする対策としては、以下のものがあります。
貸付として処理する場合には、証拠を残すために金銭消費貸借契約書も忘れずに作成してください。
名義人ではない方が住宅ローンの繰り上げ返済資金を負担しても贈与税がかからないようにするためには、次のような方法があります。
リフォーム費用の負担と同様に、貸付の場合には金銭消費貸借契約書を作成してください。
住宅ローンを共有名義から単独名義へ変更した場合には、住宅ローンがなくなった方の共有持分を単独名義となった方へ贈与するという方法があります。この場合には、贈与税の配偶者控除の適用を受けることで2,000万円までは贈与税がかかりません。
一般的に、住宅ローンを利用すると住宅には抵当権が設定されているため、借入先の金融機関へのご相談も必要になります。
住宅ローンの借り換えで贈与税の発生を防ぐには、次の方法が考えられます。
夫から妻への貸付を選択する際には、この場合にも、金銭消費貸借契約書を作成する必要があります。
購入資金について夫婦どちらがいくら負担したのかを細かく把握し、それに基づいて正確に持分割合を設定します。
誤差が110万円以下であれば贈与税はかかりません。
離婚前に贈与として住宅を受け取れば、贈与税の配偶者控除の適用を受けることで2,110万円までは贈与税がかかりません。
一方で、離婚後に財産分与として住宅を受け取ろうとしても、贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできません。
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
---|---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
非課税運用期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
口座開設期間 | 2023年12月31日まで | 2023年12月31日まで | 2023年12月31日まで |
対象者 | 日本に住む18歳以上 | 日本に住む18歳以上 | 日本に住む未成年者 (ただし、二親等以内の親族が代理して管理・運用) |
上表からお分かりの通り、「つみたてNISA」と「ジュニアNISA」の年間投資枠は、それぞれ40万円と、80万円なっています。そのため、贈与税の基礎控除である110万円を超えることがなく、贈与税はかかりません。
ただし、これらのNISA以外にも妻への贈与があり、贈与の合計額が年間110万円を超えると贈与税が発生します。
一方で、「一般NISA」の年間投資枠は120万円で、贈与税の基礎控除を上回ります。したがって、妻名義の一般NISAを夫が110万円を超えて利用すると、超えた部分に対して贈与税がかかります。
2024年からは制度改正によって、以下の通り、NIISAの抜本的拡充と恒久化が図られることになっています。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限化 | 無期限化 |
非課税保有限度額の総枠 | 1,800万円 | |
口座開設期間 | 恒久化 | 恒久化 |
対象年齢 | 18歳以上 |
非課税保有限度額の総枠は1,800万円ですが、成長投資枠単独では、1,200万円まで保有可能となります。
また、つみたて投資枠と成長投資枠とは、併用して利用できるので、年間投資枠は最大で360万円と、拡充が図られています。
2024年以降のNISAでも、年間投資枠が基礎控除を超えているため、夫が妻名義のNISA口座を利用すると、110万円の贈与税の基礎控除を超えた部分については、贈与税がかかります。
前述の通り、生活に必要であれば、夫婦間で贈与があっても贈与税はかかりません。
したがって、例えば夫が妻に日常の生活の足として車を贈与しても、生活必要なものとして贈与税は発生しないでしょう。
しかし、高級車や2台目の車を贈与すれば、贈与税がかかる可能性は大きくなります。
夫婦間の贈与であっても、税務署に露呈することになります。多くは相続の際に発覚することが多くなります。
その秘密は、税務署の調査能力にあります。
例えば、税務署は金融機関に対して10年前まで遡って取引記録を調査することができます。金融機関は、正当な理由で情報開示を求められると、拒否することはできません。
また、不動産の登記情報を管轄する法務局と税務署は情報を共有しており、不動産の登記情報は、税務署に筒抜けとなります。
さらに、相続時には、詳細な相続税の申告をしなければならず、申告後であっても税務調査を行うことができます。
このように、税務署は大きな資金の移転について常に目を光らしています。贈与税についても、適正に節税しながら、正確に申告することをお勧めします。
夫婦間の贈与であっても基本的には、他人間の贈与と同様の取り扱いになります。
ただし、婚姻期間が20年以上の夫婦については贈与税の配偶者控除の適用があります。同一夫婦間に一度しか適用できませんので、賢く利用したい制度です。
夫婦間で生前贈与をご検討の際は、当事務所へお気軽にお問い合わせください。
贈与税に関しては、上記のような場合以外にも、下記のように税理士・弁護士などを含めた総合的なアドバイスが必要になるケースがあります。
弊所では税理士・社会保険労務士・行政書士・弁護士でUグループを形成しており、ワンストップで相続手続き全般についてご相談いただけます。
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